京都の夏は、明日、終わる。
京都の夏は、みじかい。
6月下旬に梅雨にはいると、みんなは雷が鳴るのを首を伸ばして待ちわびる。雷が鳴ったら、梅雨が明けるのだ。
「今年は雷さん、まだ鳴らへんなあ」
「もう祇園さんの宵山までもうすこしやから、もう鳴るんと違うかなあ」
そんな会話が、くりひろげられる。
いつも、梅雨は祇園祭の宵々山〜山鉾巡行が終わったくらいで、明けるのだ。まるで、祇園祭が、梅雨の長雨も一緒に祓っていってくれているみたいに。
祇園祭は基本的に雨模様の日がおおい。
梅雨のしとしと雨ではなくて、ゲリラ豪雨のような、雷雲をともなう強い雨だ。
そして、お祭りが終われば、京都の空はカラッと晴れて、うだるような夏がはじまる。
京都は盆地だから、夏は暑い。
本当に、暑い。
まるで、自家製サウナが町中で無料提供されているかのように、とにかく蒸し暑い。外に立っているだけで、汗が額からほとばしり、顎をつたって、灼熱のコンクリートにぽとぽとと落ちていく。そして、コンクリートに触れた瞬間、ジュッと音を立てて汗は蒸発していく。
そんな京都の灼熱の夏も、1ヶ月ほどで終わりを迎える。それが、明日だ。
8月16日。五山の送り火の夜。
京都の夏は、祇園祭にはじまり、五山送り火で終わりを迎えるのだ。
暑さはもちろん、8月下旬から9月いっぱいくらいまでは続くけれど。
京都市内をぐるりと取り囲んでいる山々に火が灯されていくのを、みんなで家の前の道路や、橋の上で見ていると。
「ああ、今年の夏も、もう終わりやなぁ」って気持ちになる。
小学生の頃は、五山送り火の1週間〜2週間後には、夏休みが終わっていたからかもしれない。
お盆の時期に、あの世から帰ってきてくださっていた精霊さんたち(ご先祖さまたち)が、送り火を目標にして、あの世に帰っていかはる。
それはまるで、たくさん遊んで、遊びつかれた夏の日の終わりに、日が暮れて、ひぐらしが鳴きはじめている田舎の帰り道、みたいな感じのエモさがある。(うまく伝えられないな。伝わるといいな)
楽しかった日が終わりを迎えるような。
胸が、ちょっとだけ、ぎゅっとするような。
それでいて、満足感もあるような。
そんな感覚。
暦の上では、7月上旬には立秋を迎えている。
実際、京都ではすでに、夕方4時頃には、秋の気配を感じる涼しげな風が吹くようになった。夜は、日によっては、タンクトップやTシャツだけだと、ほんの少しだけ肌寒い。日中にほてった身体が、涼しい夜風で冷やされていくからだ。
秋の虫たちも、すこしずつ音楽を奏ではじめている。
まだまだ暑い夏の盛り。
けれども、京都の夏は、明日、終わりを迎える。
少なくとも、生まれたときから京都に住んでいるわたしにとっては、そうなのだ。
今年の夏、楽しく過ごすことができた。
たくさんの成長や学びがあった。
そのすべてに感謝して。
そして、ほんのりとその気配を風の中にほのかに感じはじめた、秋がやってくるのを、心待ちにして。
今しばらくは、この京都特有の、蒸し暑い日々を、堪能していこうと思う。
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