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人生は陰と陽、どっちもあって、ちょうどいい
ぎっくり腰になった。
正確には、「ぎくっ!」となったタイミングがあったわけではなく、2日前からどんどん腰の痛みが悪化していて、昨日の夕方には咳をしただけで「痛いー!!」と悲鳴が出て、崩れ落ちるほどになっていた。
そんなわたしを見て、バイト先の社長が「お前、もう早う帰れ!」って言ってきて。
ちょうどその5秒前に、キッチンに入ってきたわたしに「お前、トースト(商品)できるか?」って聞かれて、「できないです!」って返事したところだったもんだから、「え、社長、トーストできひんって言うたから怒ったん?ごめんやん、トースト焼くやん」ってオロオロした。(社員さんは、そんなわたしと社長(80越えのおじいちゃん)とのやりとりを見て爆笑)
「ちゃうわ、お前、そんな腰でどうすんねん!今日もお迎えあるんやろ!給料はちゃんと計算しといてあげるから、とりあえず早よ帰り!ほんで病院行け!」なんて言ってくる社長のやさしさにウルっときて、「ほな、すみません。今日はさすがに帰らせてもらいます。おおきにです。申し訳ないです…」と言って、店長が探してくれた最寄り駅近くの整形病院に行ってきた。
駅について電話で予約が必要か確認する。
「予約はいらないですが、どうされましたか?」と聞かれて、「実は、ぎっくり腰になったみたいで…」というと、「ええ!今どこにいてはるんですか?〇〇駅?!まあ!大変やと思いますけど、ゆっくりゆっくりでええから、気をつけてきてくださいね!」と言ってもらって、電話を切る。
そろりそろりと、カタツムリの方がはやいんじゃないだろうかってくらいのスピードで、ゆっくり病院へと向かう。普段なら3分で行ける距離を、10分くらいかけて、ようやく病院にたどり着いて、「先ほどお電話した〇〇です」と告げる。すると受付にいたお姉さんたちが「ああ!〇〇さん!よう来たね!大丈夫やった?入り口のところの階段、登れはりました?痛いでしょう、そこ早う座ってくださいね」って、もう至れり尽くせり。
問診票を書いて、受付の人に渡そうとすると、「あ!もう動かんでええから!そこに座っててください!取りに行きます!!」って取りに来てくれて。問診票を受けとったときに耳元でコソッと「わたしも昔にやったことあるんです。だからすごくわかるの。痛いわよねえ」って言って、ニコッと微笑んでくれて、もうハートの真ん中をズキュンと貫かれた。好き。(単純)
名前を呼ばれて、そろりそろりと、受付の人たちや看護師さんに支えられ、応援されながら、診察室に入る。先生もとてもやさしくて。お話しする中で、今から子どものお迎えで、自転車でお迎えに行ってること。自転車は今、この近くの駅のコインパーキングに停めていることを伝えると、「いや、今日は自転車は絶対やめたほうがいいわ。自転車、〇〇駅に停めてるなら、ちょっと行ったり来たりにはなるんやけど、うちの病院の駐輪場に止めておいてもろてええですよ。駅のコインパーキングやと日数増えるとややこしいでしょ。うちは、何日でも停めておいてもろてええから」なんて神発言をかましていただいて、もう本当になんなの、神なの?やさしさの権化なの?ってなって、お言葉に甘えさせていただくことになった。
レントゲン室に移動する際も、カタツムリのようにノロノロとしたわたしを暖かい目で見守り、5メートルの距離を数分かけてようやくたどり着いたわたしを、辛抱強く待ってくれた看護師さん。なんかもう、本当に、やさしい。
レントゲンのセットをしながら先生が「ていうか〇〇さん、めちゃくちゃ日本語上手やんね?え、どこの人?」って言われて「この顔なんですけどね、日本人なんですよ。お母さんがヨーロッパで、お父さんが日本で。でも生まれ育ちは京都なんです」っていう、これまたお決まりの会話も挟んだりしながら。「いやあ、びっくりするくらい外人さんやのに、めっちゃ京都弁やし、どういうことなんやろって思ってたんですよーあはは」って言われて、またほんわかムードが漂う。なんなんだ、この癒しの空間は。
そんなこんなで、レントゲンも撮ってもらい、ぎっくり腰だろうということで、多めに湿布や痛み止め、そしてロキソニン成分の入った塗り薬を処方してもらった。帰り際、受付のお姉さんたちに「お迎え頑張ってね!気をつけてね!」って声援を背中に受けて、「ありがとうございますうううう〜(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)」なんて言いながら病院を出る。
空はすっかり瑠璃色に染まって、一番星と上弦の月がかがやいている。夕方の街の喧騒のなか、そろりそろりと歩いていく。
ああ、世界はやっぱり綺麗だな、美しいなって思う。
しみじみと思う。
痛みや苦しさを経験したときほど、こんな風に、人とのやさしくて温かい交流を感じられるんだ。だから、いいことも悪いことも、どっちも最終的には、「しあわせ」で「有難い」ことなんだよなぁって。
わたしの目にうつる世界は、今日も、やさしく、あたたかいよ。
(でもぎっくり腰はマジで痛すぎたので、今日はゆっくりと過ごします涙)
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