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株式会社ポケモン、中国での知財裁判で勝訴する

2024年9月13日、株式会社ポケモン(以下、ポケモン社)は、中国における知的財産権侵害訴訟で勝訴したことを発表しました。この事件は、ゲーム業界における知的財産権の保護に関する重要な事例として注目を集めています。

「口袋妖怪:复刻」とは?


訴訟の対象となったのは、被告企業ら(广州麦驰网络科技有限公司等)が提供している「口袋妖怪:复刻」(別名「口袋之旅」。以下、「口袋妖怪」という。)という名称のスマートフォン向けゲームアプリです。タイトルの「口袋妖怪」は、中国語で「ポケットモンスター」を意味します。

口袋妖怪は、多くの中国ユーザーから人気を得ていたものの、ネット等では「公式のポケモンに酷似したキャラクターが多数登場する」「ポケモンとのゲームシステムの共通点が多い」点について、ポケモン社の知的財産権を侵害しているのでは?との指摘を受けていました。

ポケモン社の主張と裁判の経緯

ポケモン社は、被告企業らが自社の著作権を侵害し不正な手段で市場競争を歪めたとして、2021年12月3日付けで広東省深圳市中級人民法院に訴訟を提起しました。

裁判所の判決内容

2024年7月12日、広東省深圳市中級人民法院は以下の判決を下しました。なお、一部の被告企業はこの判決に対し、控訴を提起しています。
著作権侵害の認定
口袋妖怪は、ポケモン社のゲームと「キャラクター」「主人公」「マップ」等で実質的に類似しており、ポケモン社の著作権を侵害している。
不正競争行為
被告企業らは、口袋妖怪が「任天堂公式ゲーム」と誤解されるような広告手法を採っており、不正な手段で市場競争を歪め、ポケモン社の正当な利益を損なっている(不正競争防止法違反)。
損害賠償の命令
主たる被告企業である广州麦驰网络科技有限公司に対し、1.07億元(約23.4億円)の損害賠償を命じる。また、他の被告企業にも賠償金の一部について連帯責任を負うよう命じる。

判決の意義と今後の影響

この判決は、中国において知的財産権の保護が強化されていることを示す重要な事例と言えます。
また、ゲーム業界含め、他社の知的財産を無断で使用することは法的なリスクを伴うだけでなく、企業の信頼性やブランド価値を損なう可能性があります。経営者だけではなく、ビジネスパーソン全員が知的財産権の重要性を再確認し、正当なビジネス展開を行うことが必要と言えます。

まとめ

今回のポケモン社の勝訴は、知的財産権の保護とその重要性を改めて示すものとなりました。グローバルな市場でビジネスを展開する上で、法律や規制を遵守し、他社の権利を尊重することが成功への鍵となります。

(参考情報)
株式会社ポケモンプレスリリース


宝可梦(上海)玩具有限公司(ポケモン社の上海子会社)プレスリリース


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