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電力の地産地消

 再エネ転換の議論が一向に進まない。従来の電力行政、言い換えれば電力利権を残すことが前提になっているためだ。
大きな発電所と電力網を大手電力会社が握り、その供給網を前提とする議論では出口がない。電力会社の送電網は強大である。国土を多く占める山岳地帯も巨大な鉄塔が横切り、電信柱と電線が隙間なく街をからめとり、多数の変電所が配置されている。
 私たちはこの風景に慣れてしまっているが、前提から見直す時期に来ていると思う。電気は距離と共に減衰する。人のいないところで電気を発生させるのは無駄であり、地産地消が望ましい。そして地産地消に向いているのは圧倒的に太陽光発電である。
 太陽光エネルギーはすさまじい。地球が温暖なのはそのおかげである。そもそも二酸化炭素を出す化石燃料は植物が光合成をした産物だ。温暖化対策に太陽光エネルギーを使うのは理にかなう。
 太陽光パネルのエネルギー変換率の推移を見みると2040年には40%を超えると見られている。さらに、ペロブスカイト系パネルは壁面や曲面にも設置できるので設置面積が増える。また変換する光の周波数帯がシリコンと違うので、重ねることで変換効率が更に上る。今の倍以上の変換効率になる。
家電製品の省力化や蓄電池開発も併せ自家消費分は確保出来ると思われる。つまり一般家庭や過大な電力を必要としない建屋の電力はほぼ自給自足できるという事だ。
 大規模電力を必要とする工場やデータセンターの事業者は、発電手段をそれぞれの責任で確立すべきだ。水力や風力、地熱発電等、立地との兼ね合いだ。例外は電力が余分に必要な大都市だが、足らない分は大都市圏内に小規模発電所を作ればいい。自分たちの近くにあって始めて原子力の本当の議論ができる。
 そして、最大のキーは交通インフラだ。電車は線路という広大な遊休地がある。太陽光パネル設置はすぐにでも出来るのではないか。
 最後にEV化が進む自動車だ。課題は蓄電池と発電手段の再エネ化だ。
自動車は道路を走る。道路が発電設備になれば解決は早い。ペロブスカイトは応用性が高い。道路を太陽光パネル化する研究を期待する。定距離ごとにユニット化し、非接触型の充電設備を付ける。自動車側には非接触の充電口さえあれば大きな蓄電池も必要なく、低コストのEV車も可能だ。道路があるところは自動充電で走れることになる。
 電信柱の無い街の景色をいつか見てみたい。

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