大阪都構想は、府と市を統合するという単純な話ではなく、東京集中の偏った国体を、再度日本全体を見渡し再設計するための「とば口」にあたる考え方だと思う。 偏向した東京集中は少子高齢化を加速し、国土の格差による国民の格差を広げるすぐにでも見直さなければならない国難とも言える国家課題だ。 なので、大阪府だけで是非を検討したりするものではない。ましてや大阪市だけで選挙で決める様なものではない。 過去二回の否決は残念きわまりなかったが、今回の日本維新の会の代表見直しは戦略を見直す絶好の機
兵庫県知事選が斎藤氏の再戦で決着した。メディアは一斉にSNSの脅威を論じている。 まるでネットメディアに溢れる陰謀論が正義を凌駕したような論調だ。 マスメディアの反省の無さにあきれている。 そもそもこのニュースがメディアに流れ出したときから、違和感を感じていた。 知事の「パワハラ」や「おねだり体質」を取り上げていたが、そもそも事実が明確でもないし、犯罪でもないことを声高に流し始めたことに首を傾げる。どうみてもマスコミと自民党の議員団、その後ろにいる知事に恨みを持った県職員の悪
幼い頃は寒い季節が大嫌いで、一年中夏になればいいと思っていた。 大阪のような中途半端な気候は、北海道みたいに命を脅かすような寒さが来ないので、暖房も中途半端、おまけに木造の昔ながらの家屋は隙間だらけでとても寒かった。 50年前の小学生の男子はなぜか冬でも半ズボンをはかされていて、中学生になっても学生服の上はコートも無く、冬はいつも鳥肌になっていた記憶がある。大阪の冬の空はいつも曇天だ。おとなになっても冬嫌いは変わらず、冬の気持ちは曇天の空とシンクロしていた。 何年か横浜に
きっかけはスケッチ旅行で訪れた、宮崎県の青島だった。 青島は、日向灘に半島状に突き出た平坦な小島だ。 黒潮が流れ、温暖な気候で雨量が多く、青島神社の神域なので昔からの熱帯性の植物が繁茂している。ヤシ科の「ビロウジュ」の最北地の群生地でもある。青島の「ビロウジュ」は南方から黒潮に乗って漂着したと言われている。 島の遊歩道を歩いているとき、海からの照り返しの光が目を刺してきた。ヤシの葉が茂った林を透かして黒潮の光が輝いている。「ビロウジュ」の林は生命にあふれて楽園の匂いを
淀川の河口に広がる埋立地に流れる運河だ。今はもう埋め立てられて公園になっている。大阪市此花区四貫島、私の家はその川の直ぐ側にあった。地名から見ても昔は河口の島だったのだろう。 祖父が材木商をしていたので、河口の材木の荷揚げ場近くの二階建ての木造住宅に住んでいた。父は終戦間近のある年に予科練に入隊したが、その頃は戦闘機不足で出陣もままならず、日本各地を転々としているうちに終戦となり、帰阪してからは祖父の商売を手伝っていた。戦時中に材木商から建築解体業に商売を変えていた。
17.SNS時代の狩場 セミナーで出会った同年代の女性がいた。その女性も同じ匂いがする一人だったが、その匂いがする時としない時がある。もしかしたら何かわかるかもしれないと思い、休憩時間にその女性に声を掛けた。 「お仕事ですか?」「いえ、友達に誘われて・・・」何か悩んでいる感じがしたので、セミナー後、お茶に誘ってみた。普通のOLだった。セミナーに参加した理由を聞いてみた。 きっかけは最近参加しだしたあるSNSグループからの誘いで参加したとのことだった。その女性は失恋をきっか
生駒山は大阪市(難波の宮)の丑寅の方角(北東)で鬼門となる。 また、奈良市(平城京)から見ると裏鬼門(南西)に連なる山脈だ。なので、山腹には昔から宗教施設が多く立つ。 そんな山頂には、古くからケーブルカーや自動車道が通っていて、テレビ塔を囲むように山上に有名な遊園地がある。地元では誰もが訪れたことがある行楽地だ。 その日は秋晴れの日だった。子供がようやく遊具に乗れるようになったので、遊園地デビューをしようと思い家族連れで山上遊園地に来た。ここは遊園地デビューにぴったり
夢の国 その遊園地は閉園となってから30年経つ。 「夢の国」という名前で、私が子供の頃はこの地域でぶっちぎりのわくわくする夢のお出かけ先だった。 やがてその子供の夢のお出かけ先は、外資の本物のテーマパークにとって代わり、来場者の減少とともにやがて衰退がはじまった 新しい外資のテーマパークではメディアで洗練された映画やテレビの中と同じコンテンツが展開されることでレベルが上がり、既存の遊園地はさらに陳腐化した。 採算が取れない遊園地はいろんな手を使って流行のテーマパークへ
11.都知事選 今回の都知事選は混乱の極みだった。東京都はヨーロッパの小国並みの経済規模や人口がある。一発の選挙でそのTOPが決まる。 そのうまみに気づいたよからぬ連中が押し寄せ56人の立候補となった。ルールのほころびを狙った不真面目な立候補者の存在は言語道断なのだが、違反していなければしょうがない。早々に公職選挙法の改正が必須だ。 彩里は悩んでいた。スキャンダルを狙う対象を絞り込む為に、本人の様子を生で見る必要がある。ところが本命の現職知事がまったく生で見れない。定例
1.廃墟と化す公団住宅 都心まで電車を乗り継ぎ1時間半、最寄りの駅からはバスで20分、昭和30年代の住宅建設ラッシュのなか建てられた、10棟・300戸の中規模のありふれた団地だった。 住宅公団が手がける分譲住宅で、当時は人気が高く抽選の倍率は30倍を越えていた。 入居したのは主に20~30代の若い夫婦で戦後の高度成長とともに日本の経済を支えた人たちだ。 時代は流れ、若い夫婦は親となり、子供たちは自立して巣立っていく。 高度成長の時代が過ぎ、少子高齢化の波が日本中を襲い
6.対策本部 ますます増加するインバウンドに対して、出入口となる関西空港を抱える大阪府警は、この「トクリュウ」とその背後の「蛇頭」の連動を叩く為、対策本部を設立した。 「トクリュウ」の特徴であるSNSでのリクルート活動は、通信の秘匿性という法律が大きな障壁になり阻止することは困難だ。したがって水際の犯行現場を如何にキャッチアップするかということと、命令を下す組織の仮説を立て、潜入捜査と仮説の検証をすることが最初の戦略となった。 「蛇頭」につながる組織は、港湾関係の利権
ゴミはなるべく出さない。地元の野菜を買う。家電は壊れるまで使う。電灯は全てLEDに替え、こまめに電源オフ。還暦を過ぎて、エコ生活に加速がついてきた気がする。 思えば20世紀は足し算の時代だった。右肩上がりの戦後経済の中で育った世代の私は、大量生産大量消費の中、あらゆるモノを増やしていくことが「正義」という人生を過ごしてきた。 世紀末には、足し算どころか掛け算のような浪費が積み上がり、結果として大きな負の遺産が積み上がった。なので、今のエコ生活はどこか後ろめたさが付き
台風の後、ウォーキングの道に早熟の柿が落ちていました。かじりついているのはコクワガタです。季節が重なっています、温暖化の夏の終わりの風景です。
いつものウォーキングコースだった。山の中腹に真言密教の寺院がある。寺社仏閣は好きなのでよく行くのだが、自分の中では大きく二つに分類している。宗派や歴史はあまり関係ない。一つは観光色が強く史跡感が強い寺院で、もう一つは仏教の修行場としての空気感があり、特定の願いを持った参詣者が多く訪れる寺院だ。前者は枯れた感じがし、後者は少し生々しい。 この寺院は典型的な後者だ。中興の祖による修法を今も続けていて、本尊の歓喜天は毎日夜中の2時に密教の秘法である浴油をすることで有名だ。もとも
1.取調室 「いよいよ段田さんのおでましですか」若手の捜査員が、部屋に入ってきた私に席を譲った。取調室に入った途端、「嘘」の匂いが充満しているのに気付いた。 「誰に何を聞かれようと、私は何も知りませんよ。」段田の前に座る男は、表情を変えず呟いた。段田は正面から男を見た。身体全体にすでに黒いモヤがかかっている。「わかりました、それじゃあこの写真の女の人は見たこともないという事ですね。」男の目の前に被害者の女性の写真を出した。男は一瞥し、表情を変えずに言った。「まったく知らない方
再エネ転換の議論が一向に進まない。従来の電力行政、言い換えれば電力利権を残すことが前提になっているためだ。 大きな発電所と電力網を大手電力会社が握り、その供給網を前提とする議論では出口がない。電力会社の送電網は強大である。国土を多く占める山岳地帯も巨大な鉄塔が横切り、電信柱と電線が隙間なく街をからめとり、多数の変電所が配置されている。 私たちはこの風景に慣れてしまっているが、前提から見直す時期に来ていると思う。電気は距離と共に減衰する。人のいないところで電気を発生させるの