その同調能力の強みが、人生の重荷になっているかも?~共感系HSPさんへ
身体感覚からのアプローチで生きづらさを卒業し強みで働く
HSPのための自律神経ケア×強みプログラム
そういう個と。主宰の皆川公美子です。
前回は洞察系HSPさんにむけて
「おしゃべり」についてのこちらの記事をお届けしました。
今回はコミュニケーションシリーズとして、
共感系HSPさんに向けてお届けしたいと思います。
強みと弱みは表裏一体、使いどころを意識することが鍵を握ります。
老婆心ながらお届けしますので、
うるさく感じたらどうか「うるさい!」って言ってください(笑)
でも、少しでも皆さんのお役に立てたら嬉しいなと思っているんです。
読んでいただいている方の中には
「確かにそうだなぁ」と感じてくださる方が
必ずいらっしゃるんじゃないかと確信めいたものがあります。
今日この話題を持ってきたのは、
ほんの少し気づいて、ほんの少し改善するだけで
その人の人生がもっと明るく、ラクになるんじゃないかな
という気持ちがあるからです。
共感力の強いHSPの皆さん、
ぎくっ!と思うこともあるかもしれませんが
どうぞ気軽に読んでくださいね。
HSPの共感力:人の感情が手に取るようにわかる力
共感系HSPさんの特徴について触れておきましょう。
そもそもHSP理論提唱者のアーロン博士が提示する
「DOES」と呼ばれるHSPの定義の4条件
1.【Depth of processing】深く考え、 深く処理する=深い処理
2.【Overstimulation】過剰に刺激を受けやすい=刺激から圧倒されやすさ
3.【Empathy and emotional responsiveness】全体的に感情の反応が強く、 特に共感力が高い
=共感力
4.【Sensitivity to subtleties】ささいな刺激を察知する=環境感受性
のうち、
3.【Empathy and emotional responsiveness】共感力
の比重が高い人たちが【共感系HSP】と呼んでいる人たちです。
HSPさんは皆、これらの4条件を兼ね備えていますが
人によってその比重は様々だなあとセッションのたびに痛感していました。
2018年ごろから「洞察系・共感系・感覚系」と
それぞれの才能を名付けて
繊細さの向く方向と強みの関連をお伝えしていたのですが、
その後アーロン博士が
2つ目の【"O"verstimulation】だけは不都合ごとですね
とおっしゃっているのを聞き、
Oを除いたあとの三つが
D洞察系・E共感系・S感覚系の特徴として説明できる!と気づいたことで
その後「洞察系・共感系・感覚系」を
本として出版させていただく運びとなりました。
共感系HSPさんには「人の気持ちがよくわかる」という力があります。
その精度は並大抵のものじゃなくて、
本当に手に取るように相手の気持ちがわかってしまうんですね。
この感覚は、「感覚洞察」とも言えるかもしれません。
HSPの持つ大きな才能の一つですが
共感系HSPさんはHSPの平均から見ても抜きん出ている方々が多いです。
自分と相手の境界線、皮膚が教えてくれること
さて、ここで少し身体感覚の話をします。
私たちが日常的に
内臓や筋肉といった「自分」と「外の世界」をどう区別しているか、
考えたことはありますか?
実は、その境界線を教えてくれているのは皮膚です。
皮膚は外界からの菌やウイルスなどに対する
バリア機能を果たしているだけではなく、
感覚的に「外」と「内」をしっかり分けて感じるための
重要な感覚器なんですね。
でも、共感力が高すぎるHSPの方々は、
この「自分」と「外の世界」=「相手」の境界線が曖昧になりがちです。
身体感覚的に言うと
自分の身体の範囲がどこまでなのか、
あるいは自分の体の内と外の区別がしにくくなっている状態。
感覚的な境界がうまく認識できていないために
自分の感情と相手の感情の区別がしにくくなり、
相手の感情や状況に引きずられてしまうパターンが
多くなってしまうということです。
例えば、相手の都合に合わせすぎてしまったり、
相手の気持ちに入り込みすぎて
自分の意見や感情を後回しにしてしまったり。
こういったことの積み重ねによる疲労感を
どうにかしたい・・・と思うHSPさんは多いですが、
実はここにヒントがあるんですね。
皮膚の内側と外側を身体が把握しているか、
これがポイントです。
日常に潜む「相手の都合に合わせすぎる」罠
日本は「忖度」「KYじゃないこと」を
異常なまでに求められる国ですので
HSPに限らず全国民的な話ではありますが・・・
このような状況が具体的にどのように現れるかというと、
よくあるのは
・行きたくもないのに誘われたら断れない
・それどころか、行きたい!とか即答しちゃう…
・相手の方が困ってそうだなと思った途端に、
頼まれてもいないのに自分が助けるモードで
どこやればいいの?とか聞いちゃって自分の負担感に拍車がかかる
など。
特に仕事の場面では、
例えば価格交渉のときにクライアントに遠慮して
自分側の要望を出さずに相手のペースに合わせてしまうことがあるかもしれません。
また、場所を借りるときでも、
自分は週末に借りたいと思っているのに
一緒に借りる相手が平日を希望していると
「じゃあ平日でもいいか」と
相手の都合の中で話を進めてしまうこともあるでしょう。
価格帯など自分たちの手の内をすべて見せてしまうことも同じです。
このような場合というのは
無意識のうちに自分の希望を後回しにして
相手のフィールドに入ってしまっているということなんです。
こうした「相手に合わせすぎる」ことが頻繁に起こると、
仕事でもスキル不足と捉えられてしまうかもしれませんし
日常生活でも否定的な意見を言えない、
つまり「ノー」と言えないことが増えてしまいます。
その日はちょっと都合悪いですねとか、どうしようかなとか
日常的に相手が言ってることをいったん断る、
否定的なニュアンスを出す、ということに関して
・ちょっとでもやってみるタイミングがつかめない
・断るとか押し返すとかは自分の辞書には「ない」
という人もいるかもしれません。
でも、そうした無意識の「NO」がない行動が重なると、
自分の人生がどんどん窮屈になってしまうんですよね。
これ読んでくださってる方の中で
「しれっと断れるなんて人いるの?」
って思われた方は要注意です。
心当たりがありすぎて「うっ・・・」と思う方も
いらっしゃるかもしれませんが、
これはあなたの性格ではありません。
性格ではなく少しずつ変えていける部分だからお伝えしているんです。
しっておいていただきたい社会的な事情をもう少しお伝えしたら
ヒントも書きますので、どうぞ気軽に進んでくださいね。
日本社会の同調圧力とHSPの挑戦
ここで一つ考えていただきたいのは、
日本社会の「同調圧力」という文化です。
どこかで「みんなと同じでなければいけない」と
感じてしまうことって少なくないですよね。
法律で定められているわけでもないし
罰則があるわけでもない。
でも人生をじわじわ楽じゃない方向に引きずるようなものだったりします。
例えば、小中学校の頃、「遊びに行こうよ」と誘われても、
用事があるわけではないけどなんとなく行きたくないときに
「行かない」と言うのは
とても外れた行為であるという感覚を覚えている方も
いるかもしれません。
みんなで食事に行って「デザートどうする?」となったとき
「今日はいらない」とは言わない人が多い。
これって、日本特有のものなんですよね。
遠足や林間学校といった行事も
全員が基本的に参加するという前提がありますし、
自由に選べるものではありません。
これは教育課程だからと言ってしまえばそれまでなのですが、
海外でこういった一斉に決められた枠で遠足に行ったりとか、
行く行かないを選べる権限がないというのは
東アジアを除き結構珍しい文化のようです。
デンマークの教育現場のお話を聞く機会があった時に
そういった思想はデンマークにはないと
デンマークの学校の先生方から伺いました。
子どもが「行くか行かないか」を聞かれる、
選択できることが当たり前なんだそうです。
子どもの頃からあなたは独立した個人・人格であるということを
刷り込まれるということですね。
これは教育の違いであり、どちらが良い悪いという話ではありませんが、
日本の文化的背景が共感力の高すぎるHSPの方にとって
特に厳しい環境であることは間違いありません。
この感覚は、大人になっても引き継がれ
社会や企業の中でも
「自分の意志を表明しにくい」という状況に繋がっていると感じます。
日本では特に、自分の考えを明確に伝えることが
難しい環境が多いのではないでしょうか。
これが当たり前だとしても、
そのまま受け入れてしまうのはもったいないことです。
まずは自分がそういった環境にいると認識し
自分の身体感覚をしっかりと持つことで
無意識に我慢してしまう状況や、嫌なことに巻き込まれることが減り
自分の意志を大切にできるようになります。
自分の身体感覚を大切にすること
こうした「相手に合わせすぎる」状況から抜け出すために、
最も重要なのは自分の「身体感覚」を大切にすることです。
え?そんなの関係ある?と思われた方、
もう少しお付き合いください。
身体は、自分にとって望ましいものが何かをよく知っています。
「今日は身体がだるくて行きたくない」=休息必要
「今日はなんか辛いもの刺激物は食べたくない」=内臓の刺激限界
「この人いい話ばかりするが、なんかざわっとくる」=過去にあった出来事に照らした違和感
など。
食べたくなるものから、身体に足りていない栄養素がわかる
なんて話もありますよね。
これは頭よりも身体の方が、その人を生かすことに対して
常に上位のポジションを保ってるからなんです。
だから頭で考えるよりも、身体の反応の方が早かったりする。
熱いものを触ってしまったときに
「やけどしてしまうから離そう」なんて考える前に
パッと手を放していますよね。
一般的に、無意識的な反応は0.1~0.3秒で生じると言われる一方、
感情的な反応は0.3~0.6秒、
意識的な選択や反応は0.6~1.5秒かかると言われています。
1.5秒という時間は、会話の中では意外と長く感じますよね。
誰でも、話しかけられるとすぐに反応することが多いと思いますが
HSPの場合はこれにも増して
無意識に即座に「相手に好かれる反応をする」ことが多いです。
「あ、手伝おうか」
「いいね、賛成」
「いける行ける」
「それ、こちらで引き受けますね」
などなど。
心の奥底で
「あ、どうしようかな」と一瞬こまったり
立ち止まって考えたい感じがあったとしても
瞬時に相手の笑顔が一番見られる応答をしてしまい
その後抱え込みすぎたり
自分のキャパを超えてしまったり
あとで考えたら本当はあまり行きたくなかったしんどい・・・
などが起こりがちです。
わたしがよくお勧めするのは、
困った顔や保留にして考えている顔を表に出すこと。
これは、自分が
恐怖的な反射や反応に巻き込まれないための一つの手段です。
そしてこれをやっても、まわりはそんなに怒らない、
むしろ気遣ってくれるということを体験してみるのもいいです。
共感力を生かしつつ、自分を大切にする
共感系HSPさんは、瞬時に他人の気持ちに共鳴し
相手の身体反応と自分の身体を同一化させたり、
共鳴する力を持っていると思います。
この能力は、誰もが持てるわけではないものですし
仕事でうまく活用すれば強みになるので
消すべきものでは決してありません。
ただ、恐怖や服従の反射が瞬間的に出てしまうと
人間関係がぎくしゃくすることもあります。
そこで、こうした反応に気づき、
自分の体の感覚をより意識できるようになれば
人間関係がもっと楽になるのではという願いを込めてお伝えしました。
今日の記事で触れた社会的な背景や身体の仕組みを知ることで
共感系HSPさんのコミュニケーションや人間関係が
よりしんどくないものになっていくことを願っています。
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