マルチスクリーンで新しい図書館サービスを考えてみた。@第16回大津アイデア塾のまとめ
6月28日におおづ図書館で第16回大津アイデア塾を開催しました。
前回の第15回大津アイデア塾の発展形として「新しい図書館サービスを考えよう」というテーマにしました。
新しいサービスについて考える時にも、実はSCAMPER法はとても役に立つ方法なのですが、今回は私の専門分野であるTRIZの1手法である「マルチスクリーン(9画面法)」を使ってみました。
アイデア塾はそこに参加する人々の創造的な活動体験を主な目的にしていますので、同じようなテーマを別のツールを使うとどうなるのかを知るのは、そういう機会を作らない限りできない体験ではないかと考えています。
マルチスクリーンとは、時間と空間の2つの軸でシステムを観察しながら思考するというものです。イメージは下のような9つのマスで表現されるもので、これからも「9画面法」と呼ばれる理由が分かります。
今回は大津町内の方を中心に、久しぶりにお会いするクリエイターさんや人吉市から初参加の方など7名です。FBイベントでしか告知していなかったのですが、FBやSNSを通じたご縁の広がりに感謝ですね。これからはきちんとHPなどを活用しようと反省しました。
最初はいつもの自己紹介。
お互いの名前や何をしている人か、そして今のマイブームは何?などを簡単に話してもらいます。このアイスブレイクの必要性はたまに議論されるものですが、僕は助走としてやった方が良いという立場です。いきなり会議に入るよりも雑談があった方が場の空気も和みやすい。しかしあまり砕けてしまうのも意味がないので、そのあたりの「アイスブレイクの目的」は慎重に考えておく方が良いでしょう。
大津アイデア塾は、いろいろなバックボーンを持った方が参加してくださるので、まずは「創造性」についてある程度の共通の理解をしておきます。創造性は問題解決のために使うもので、大きく3つの柱から構成されます。
前回の「新しい図書館を考えよう」の内容を簡単に振り返って、早速今回のマルチスクリーンに入っていきます。初めて耳にする「マルチスクリーン」というワードに参加者のみなさんの「何それ。美味しいの?」という戸惑いと期待を感じながら説明を続けます。要は、問題が起きている状態を「空間軸と時間軸で分析する」というシンプルなやり方です。ただ、それには「今生じている問題をどのように解決したら良いのか?」と「将来へ向けてどのような施策を打ったら良いのか?」という2つの使い方があります。
一つ目は例えば「重要な書類を忘れて会社に来てしまった!」という問題に対して、時間軸は「会社に来る前(家を出たとき)→今の会社での状態→15時から始まる客先でのプレゼン」で、空間軸は「自分を空から見下ろして→自分の周り→自分が所有しているモノ」という感じで分析観察してみます。
もう一つは、今回のアイデア塾でのテーマのように「これからの〇〇をどうしたら良いのか?」という問いかけです。「新しい図書館サービスを考えよう!」というテーマであれば、9つの窓に入る問いかけは次のようになります。
マルチスクリーン作成の流れは以下です。
基本的はこの流れで、それぞれの窓にポストイットで自分たちの意見やアイデアを貼りつけていきます。意見にはポジティブなものやネガティブなものなど様々ですが、気にせずに出していきましょう。
過去(15年前)にあって今は無くなったものや、今あるけど将来は必要なものなど俯瞰的に思いをめぐらすことがこのマルチスクリーンの特徴です。そして、これは参加者の思考の流れが一目瞭然なので、新しい図書館サービスを思い浮かべるに至った理由を理解できるというのもまた大きな特徴です。
ここまでくれば、参加者の合意の上で「将来の環境にマッチした図書館のコンセプトとサービス」が具体化していくことでしょう。
アイデアを自由にポストイットに書いて貼っていき、それをグルーピングしてコンセプトをまとめるKJ法で生成されるコンセプトは、参加メンバーの多様性が高く生産的ファシリテーションが重要だと思います。しかしこのマルチスクリーンはすでに思考のフローが決められているので、一人でも大人数でもそれに沿って合理的に考えていくことができます。決まったマス(窓)があると、そこを埋めたくなるのが人間の性ですから。
今回参加いただいたみなさんのアンケート結果も好評で、
というとても嬉しいコメントを頂きました。
さて、次回は何をテーマに取り上げるか考えています。
菊陽町には台湾から世界的半導体企業が進出してきます。
そんな多様化社会へ向けての町づくり的なものをそれこそKJ法やシックスハット法などを使って考えてみるのも面白いかもと思っています。
また、TRIZという発想法にある矛盾の克服方法をワークするってのもあるかな…。
では、また次回のアイデア塾をお楽しみに。