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小説「舟を編む」を読んで辞書を買った

三浦しをん著「舟を編む」を読みました。

月並みな感想だけれど、辞書を作るのに10年以上もの時間と気の遠くなるような地道な作業が必要なことに驚愕しました。

辞書を作った人ってすごいなぁ、とぼんやり思ったことはあるけれど、何万語という言葉を一つ一つ集めて、意味を定義し、何度もチェックしていくのが全て人の手によるものだとは。

辞書には今までどれだけお世話になったか分からないのに、ありがたいと思ったことがなかった自分が恥ずかしくなりました。

辞書だけでなく、普段私が何も考えずに便利に使っているモノやサービスは、どなたかの大変な労力の末に出来上がっているんだな、ということも改めて考えさせられました。

食べもの、暮らしの道具、電気ガス水道、交通、インターネット、コード決済、書籍、さまざまなサービスなど、私の暮らしを支えているもので「これはこういう人たちによってこうやってできているんだよ」って私が言えることなど、何もありません。

ありがたいことだなぁ。私の知らない方々のご尽力のおかげで、こんな便利な世の中に生活させていただいているのだもの。

そして、思わず辞書を買ってしまったわたし。

この小説を読んで買うのはふつう国語辞典だと思いますが、私には利用頻度が限りなく低そうだったので(母国語のおごりです、ごめんなさい)、毎日何度も引く英和辞典にしました。

高校入学から留学期間を経て大学生、社会人になってからもずっと使っていた英和辞典は数年前に手放してしまい、近頃はもっぱら辞書アプリのお世話になっていました。

今回お迎えしたのは、ジーニアス英和辞典。学生の頃に使っていたものと同じです。装丁のミッドナイトブルーが懐かしい。

改めて紙の辞書を使ってみて思ったのは、紙は癒しだということ。持って感じる重み。触って、めくっているだけで、すでに癒しです。そして、どこを開いても活字の海、海、海。セロトニンが放出されます。辞書独特の紙の質感も気持ち良い。

そんな変態の戯言はともかくとして、やっぱり紙の辞書はネット版に比べて内容が桁違いに充実していると実感しました。

単語を引く過程で、調べたい単語の前後に載っている単語が目に入るのも良いです。

ワンクリックで簡単に日本語訳が出てくる辞書アプリでは「この単語、前も調べたけどなんだっけな」ということが多々ありましたが、紙の辞書で少し時間をかけて行ったり来たりしながら探し当てた単語は、断然記憶に残りやすいです。

昔使っていた辞書は、調べた単語にはマルをつけていて、どのページを開いてもマルが見つかるのがちょっとした自己満足でした。新しい辞書にもたくさんマルをつけて、育てていきたいなぁ。

これから末永く、どうぞよろしくね。

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