ベストセラーも最新刊もそんなに読みません。積ん読の山をいくつも作るのが好きです。中には20年モノの積ん読本も…。
なんとなく始めたnoteですが、なんとなく3つの柱ができつつあります。
ひとつは、ジェンダー読書会。
ふたつ目は、日々のこと、世の中で起きていることのあれこれ。
そしてみっつ目が、読んだ本のこと。
読んだ本のこと。
でもお気づきかと思いますが、出てくる本は最新刊でも、ベストセラーでもありません。
私、とにかく本をよく買います。出版社に勤めていた頃は「本を買うために、本を作っている」なんて周りに言われたものでした。昨今の出版不況もあってか、「今日は荷物も多いし」「今読んでる本を読み終わってからにしないと」なんて言って買わずにいると、その本を二度と出会えなくなってしまい、挙句、本のタイトルを失念してしまっていたら、探しようもなくなる…。
なんてことが、しょっちゅう起きます。
だから、ピンときたら、ためらわずに買う。
もちろん、お財布との相談は必要だけれど。
というのをモットーにしています。
そうして出来上がるのが、積ん読の山です。
同居人と一緒に暮らす今の家も、2年経ったら本だらけ。
実家にも「いい加減片付けてほしい」とネチネチと言われるくらいたくさんの本を置きっぱなしにしています。
本はたくさんあるという状況下で、私はいつも本棚と本の山の前で仁王立ちしながら、次に読む本を決めるのが習慣です。
ここにはないなと思ったら、実家に帰って仁王立ちします。
そして決める本たちは、大概、ベストセラー(だったもの)でも、最新刊でもありません(いわゆるベストセラー的なものは、基本買わないというのもあるけれど)。
だから、本の感想を書こうとすると、多くの人がその本が存在していたことを忘れてしまうような時期になったりするのです。
でも、そこがいいところ。
存在を忘れられるくらい時が経ってしまっても、ベストセラー、つまり流行り物でないかひり、内容が色あせることがありません。
何年か経って読んでも、いいものは、いい。
そう感じさせてくれる本を手元に置くというのは、これまた幸せなことだと思いませんか?
なんてことを書きながら、この間実家に帰って、一番長く積ん読にしている本はどれだろう?と本の山を崩し、崩ししながら探してみたのです。
そうしたら出てきたのが、大学1年生くらいの時に買った江國香織さんの恋愛小説でした。もうかれこれ、20年以上、積ん読していたことになります。
学生時代、あんなに夢中になって読んでいた恋愛小説も最近ではまったくと言っていいくらい読まなくなりました。
現実の恋愛がつらすぎて、本の中で繰り広げられる恋愛と自分の境遇から目を背けようと手に取らなくなって以来、買うこともしなくなったことを考えると、今やかなり貴重な恋愛積読本と言えるかもしれません。
今の私の興味関心を考えると、まだしばらくが、実家で眠り続けることになるに違いありません。
そんなことを思いながら、江國香織さんの恋愛小説をもう一度、そっと積ん読の山に戻してきました。
おばあちゃんになって、40年モノくらいになった江國さんの恋愛小説を読む……。
きっと、幸せな時間になるだろうな。
想像しただけで、ニヤニヤしてしまいます。
情報と今の空気感みたいなものばかりに目が行きがちな昨今だからこそ、熟成した本の楽しさを味わう余裕みたいなもの、持っていたいな、どんな時でも。
(この記事は2019年9月に榊原すずみの別名義で書いたものです)