地獄の花園を見て

見て思ったこといくつか。

バカリズム脚本からか、さや侍に似ていると思った。その理由いくつかあるが簡単にいうと構成がストーリーでパッケージされておらず、単体ごとにパッケージされたものが複合されて、分裂症状としてでている。

さや侍は最後の感動の終わりと途中からのお笑い番組的なネタの感覚とが分裂している。素人を起用し、脚本を分裂気味で表現した、まさにディスコミュニケーションが表出するしかない起用だ。この作品においてはヤンキー漫画とOLあるあるが分裂、語り部と主人公が同一化されてごっちゃになっている。まとめると以下のよう

1.OLあるあるとヤンキー漫画の架け橋がない。この二つの落差こそが笑うところだと思うが、その落差が激しくて妙に笑うことができない。これは私がおもうに世界観によって中和することができれば笑うことができたが、なにかその落差が起こった時にポカーンとしてしまう感じが残る。全部普通のオフィスで撮っているが、セットを組んでいたらまた別の感じがでたような気もする。

2.主人公の分裂がすさまじく、実は強いがか弱く装う女性、だが漫画にもくわしく、その場の状況説明もできる冷静さもある、等、様々な要素が分裂して複合されていて、本来ならば役割を分けるところがこの主人公が全部やってしまう。この主人公が最後化けの皮が剥がれたかのように殺してやる!と言うのだが、もうなんのこっちゃわからなくなる。そして妙に嫌な後味を感じた。

OLという生き方とレディースという生き方の間。この中間に生きる人間はたくさんいるような気がする。そういうひとはこの映画に共感するだろうか。わたしはあんまりしないと思う。妙に女性侮蔑的な感覚が残ったのは私だけだろうか。レディースというよりも青年不良漫画をそのままトレースして、女性視点まで移ることができない。だから映画の最後に喧嘩に勝っても目当ての男が喧嘩相手の彼氏で女として敗北した、いうオチもあんまりピンとこない感じが残る。途中まで血肉を争う男性的な物語を見せられていて、視聴者が女の視点に立つことができていないから。

ぐらいだろうか。これからこういう分裂症状な映画はたくさん出てくるだろう。というよりも物語どうしを複合して制作するしかないから。これはそのほころびをすこし言っただけで批評でもなんでもない。

いいところは、バカリズムがOLの上司としてでてきて、わざとらしい演技でサラリーマン社会を馬鹿にする感じで演技しているし、主演女優は美しい。アクションシーンはもっと破壊してほしい場所もあったが、カメラワーク等は素晴らしいと感じた。ただあんまり笑えないだけなのだ。


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