しめ縄がつなぐ地域のつながり
長崎の「おくんち」
10月下旬となり、あちこちの神社で秋季例大祭が行われています。
外海の黒崎地区にある「天満宮神社」でも、来週は「おくんち」なのだそう。
「おくんち」といえば、「長崎くんち」の印象が強いかもしれません。毎年10月7日から3日間開催される、長崎市中心部にある諏訪神社の秋季大祭で、多くの市民や観光客が訪れます。(参考サイト:長崎伝統芸能振興会)
そもそも「くんち」は九州北部の方言で、「9日 → くにち」がなまったものなのだそう。旧暦の9月9日は多くの神社で秋季例大祭が行われ、「くんち」は秋祭りの総称となっています。
長崎だけでなく、佐賀県の「唐津くんち」や福岡県の「博多くんち」も有名です。
黒崎の天満宮神社で行われる「おくんち」は神事の要素が強いのだそう。その準備として、今日は氏子の方たちによって「しめ縄」づくりが行われました。
稲わらから手づくりされる「しめ縄」
まだ稲刈りが終わっていない、長崎。
外海近郊では、刈り取りから脱穀まで一気に行うコンバインはあまり見かけません。昔ながらのバインダーで稲刈りを行い、ひと束ごとに田んぼに立てられた稲架(はさ)に掛けていきます。1週間ほどかけて天日干ししたのち、脱穀。
この籾(もみ)を取った後の稲わらが、しめ縄の材料となります。
ひと握りずつ、稲わらを地面に叩きつけ、短いものやヘタっているものを選別。それを紐でぎゅっぎゅっと締めつけます。
真ん中が太く、両端は細く。目的の太さと長さを目指して、稲わらをつぎ足しながら1本の綱に仕上げていきます。
4本仕上げると、今度は2本ずつ、より合わせていきます。
1年間飾っておくので、強度を持たせるためにきつくしばり上げた縄は固く、より合わせるのに「ミシッミシッ」という音が響きます。
一方、境内では稲わらを手のひらでより合わせ、細い綱をなっていました。こちらは境内とお社をぐるりと取り囲むように設置するためのもの。
3、4本ずつ稲わらを取り、手のひらで強くこすり合わせます。言葉でうまく表現できないですが、「これが『縄をなう』ということか」と納得しました。
人が集うきっかけとなるもの
鳥居の下でしめ縄をつくる人たち、境内で縄をなう人たち、そして掃除をする人たちもいました。
それぞれが自分の役割を果たしていく。そうして3時間後、新しいしめ縄が飾られました。そして、屋根の上の汚れもきれいにして、今週の準備は終了しました。
今日は子どもの頃から手伝っている人もいれば、大人になってやるようになった人、以前は黒崎に住んでいたけれど、今は長崎市内(外海は旧外海町なのでこういう言い方をする)にいる人もいました。去年はもう少し若い世代も来ていて、「太い声で言えないような話」に花が咲いたといいます。
部外者からは大変で面倒な行事に見えますが、集った人たちは楽しげでした。
来週土曜に神社で見かける白い紙、紙垂(しで)を取り付けし、日曜の「おくんち」の準備が完了します。
そして役目を終えた昨年のしめ縄は、年明けの「鬼火焚き」で焚き上げられるそうです。
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