〈Sotasプロフェッショナル対談〉Sotas代表取締役CEO・吉元裕樹×サムライインキュベートVice President (Investment Group) 加藤桂太氏「向き合い、理解しあう。その先にきっとワクワクする化学反応が待っている」
「Sotasにして良かったよ」「そうでしょ、やっぱり」ー。化学産業で働く人たちの笑顔が、2人には見える。環境×化学バーティカルSaaS企業Sotasが、さらなる成長に向けてベンチャーキャピタルの株式会社サムライインキュベートによる運営ファンドなどから5,300万円の資金調達を得た。新たな挑戦に向けて代表の吉元裕樹とサムライインキュベートVice President(Investment Group)の加藤桂太氏が、Sotasの未来と可能性について語り合った。
多角的・多面的に現場を見つめる。その深い眼差しが課題解決の鍵になる
吉元裕樹(以下、吉元) 数ある出資候補企業の中からSotasを支援頂き、誠にありがとうございます。今回の出資を追い風に、わたしたちのPurpose(存在意義)である「地球に長生きしてもらう」の実現に向けて取り組んでいきます。化学産業の現場で働く方々の力にSotasはなりたい。そのためにユーザー視点を大切に、今後もプロダクト開発を進めていきます。
加藤桂太氏(以下、加藤) こちらこそ、よろしくお願いします。現場で働く方々と同じ視点を持つことは、プロダクト開発において欠かせない部分です。Sotasへの出資の決め手は、ずばりこの「現場の解像度」の高さでした。吉元さんのお話しを聞いていると、化学産業に従事する中小企業の皆さんの働く様子が目に浮かびます。相当細かく現場をリサーチされたからこそわかるリアルな課題感とソリューションが伝わってきました。
吉元 プロダクトの提供に向けて数多くの中小企業にヒアリングさせて頂きました。その際に重要視したのは、現場の方々の声に耳を傾けることでした。経営者側の意見をお聞きするのはもちろんのこと、社長さんにご無理をお願いして、工場で働く方々から直接お話を聞く機会を幾度となく頂きました。
気づいたのは経営者側と現場の課題感の違い。経営者側は、デジタル化によりコスト面や環境への配慮がどのように改善されるかを重要視します。現場は、どれだけ工数を減らし作業を効率化できるか、人的ミスを減らせるかなどに視点が向きます。
双方に言えるのは、未だ現場にはITやDXの導入に対する「難しいんじゃないの」「よくわからない」というアレルギーがあることでした。
加藤 デジタル化を進めたい、でもどうすればいいのかわからない。中小企業によくある悩みですよね。経営者視点と現場視点の違いや理解、双方の目を持つ吉元さんだから見えるものがある。そう私は強く思っています。
大切なのは相手と向き合う姿勢。熱い思いが人を動かす
吉元 Sotasの創業にあたり、これまで経験してきたキャリアから得たものが大きいと感じています。初めに就いたのは不動産の営業職でした。ここで営業スキルを磨くことができました。特にお客様とのコミュニケーションの大切さに気づかされました。次に大手化学メーカーでは化学産業の構造の理解とともに環境配慮への意識が芽生えました。その後は、成長期のスタートアップ企業にマーケティングマネジャーとして入社、取締役副社長COOを任せて頂きました。
加藤 中小企業と大企業の現場での経験、営業職そしてスタートアップでは経営者側の視点も、さまざまな観点を持ち合わせていますね。正直、Sotasのような新しいテクノロジーを持ったスタートアップと、地方の老舗の中小企業の間にはビジネスカルチャーの違いのようなものを感じます。お互いに違う文化の中で生きているような。吉元さんやSotasであれば、そんな二つの世界を結びつけるような存在になれると思っています。
吉元 おっしゃる通り、両者にある違いや壁を感じる時があります。だからこそ大切にしているのは対話を通した強固な人間関係作り。「これを使えば、皆さんの仕事が変わりますよ!」と、プロダクトを売ることを第一義にしないようにと心がけています。その前にやるべきことがある。それはお互いの関係性の醸成です。とにかく相手のことを良く知ること、関係性の基礎作りが必要だと感じています。
最近の時事ニュースや地元の話題、スポーツや趣味、家族のことなど、私も話をすることが好きなのでついつい会話が盛り上がって先方から「そろそろ本題に…」と促されることも。でもそんな会話から相手の人となりを理解し、私のことも知ってもらえる機会をつくりたい。
中小企業の社長さんたちは、隣の経営者、つまり同業の経営者さんとの信頼関係が深い方が多い。一人ひとりと向き合い、信頼を頂いた先に「吉元のところのSotas良いよ」と、口コミでサービスが広がっていくのが理想です。そうすれば自然とSotasの魅力が伝播していくものだと思っています。あっ、すみません。またついつい想いがあふれて、話が長くなってしまいました。
加藤 そういう吉元さんの熱いところが、きっと中小企業の社長さんや現場の皆さんの心をつかむ部分なのだと思います。「この人のいうことなら信じてみよう」という気になります。
人との出会いから生まれる化学反応が、きっと新たな価値を生む
吉元 数多くの中小企業をまわる中で感じたのは、ITやDXに積極的な中小企業ほど若手の人材獲得に成功している傾向があるということ。デジタル化の推進による働きやすい職場環境などが採用に向けたアピールポイントになっているようですね。
加藤 私もサムライインキュベートのキャピタリストであるとともに、愛知の中小企業の専務取締役として人材確保に頭を悩ませている経営側の一人です。経営する側として求めるDXの目的は、一に効率化による利益の確保、そして事業の存続。デジタル化により目的が達成し、事業が魅力的となり人材が集まるようになれば最高ですね。製造ロスや二酸化炭素排出量の削減など、環境負荷の低減に積極的な企業となればさらなるアピールになる。
今の若い人たちは、雇用条件や職場環境などとともに、その企業がどう社会に貢献できるかをよく見ています。企業のミッションやバリューも注目されるポイントの一つですね。
吉元 Sotasも先日、6つのバリューを創業メンバーとともに策定しました。加藤さんはどのバリューに注目しますか?
加藤 「想定外の化学反応を楽しもう」。私たちは失敗を恐れず挑戦を認め、仲間を信じ、チームのエネルギーを最大化しつづけます。
このバリューは響くものがありますね。Sotasのメインターゲットは化学産業ですし、Sotas社内での化学反応はもちろんのこと、関係する顧客企業とのコラボレーションのような部分も含めてSotasのもたらす化学反応から目が離せません。
吉元 新しい人材や技術、企業との共創を取り込みながら化学反応していきたい。今回の支援いただいた資金も、新たなエンジニア人材確保のために大切に使わせていただきます。Sotasでやりたいことをかなえたいと思う方とともに一緒に働きたい。成長過程だからこそ味わえる変化やスピード、化学反応を感じてもらえると思います。
ワクワクこそが求心力!熱い思いが社会を動かす
加藤 創業間もない2022年の夏ごろ、川崎の研究室のような小さなオフィスで初めてお会いしてから約半年、ものすごいスピードで成長していくSotasにワクワクを感じました。ベンチャーキャピタルの一員としてよく支援先の企業さんにお伝えする言葉があります。
「お金を集めるのではなく、まず人を集めてください。人が集まるところに、お金は自然と集まります」
初めてSotasに出会ったときは本当に1、いや、0.1くらいの小さな規模でしたが、この半年間で次々と仲間が増え、ぐんぐんと組織が大きくなっていくのを目の前で見てきました。その成長は今も止まりません。吉元さんは人を巻き込み集める力が素晴らしく、これからSotasはどんな姿になっていくのだろう、そう思うと私のワクワクも止まりません。自然とSotasを応援したいと思うようになりました。私以外のサムライインキュベートのメンバーも気持ちは同じです。吉元さんをしっかりと支え、ともにこれからも成長していきたい。
吉元 ありがとうございます。サムライさんとともにチームSotasとしてこれから飛躍していきたいですね。
加藤 3年後、5年後には全国の素材産業の中小製造業にSotasのファンが沢山いる。そんな景色が、私には見えますよ。500社、1000社とSotasのサービスを活用している企業が増えていくイメージです。吉元さんがSotasの事業を語るこの熱量、この熱さが相手の心に伝わる部分だと思います。なんだか、テレビや雑誌で吉元さんのような熱い人を見たことがある気がします。えっと…
吉元 もしかしてテニスの松岡修造さんですか?
加藤 そう!修造さん。似ているといわれませんか?
吉元 はい、よく言われます。
加藤 吉元さんはまさに「環境×化学バーティカルSaaS界の松岡修造」ですね。さらなる躍進を応援しています。
吉元 ありがとうございます。環境×化学バーティカルSaaSといえばSotas!と言っていただけるように全力で頑張ります!