宗教の価値
先日、宗教団体の勧誘と思われる手紙をいただきました。
あて先が手書きで書かれていたので、宗教の勧誘とは知りながらも一応開封して内容を読みました。
コロナの時事ネタを引き合いに出して、その宗教のお役立ち情報として経典から引用しているような内容でした。
おそらく送った人は、本当に役に立つと思って送ってくれたのでしょう。
ご厚意に感謝しつつ、丁重にリサイクルさせていただきました。
僕は無神論者ではありませんし、宗教が全部ダメだとも思っていません。
ただ僕の経験上、宗教に関わるともの凄い時間とお金を使います。
僕はただ、自分の時間とお金を費やしてもいいと思える価値ある宗教に、出会えていないだけです。
このスタンスは、今も昔も変わりません。
日本人は実は信心深い
日本人は、宗教にはまっているという自覚がある人は少ないですが、実は結構信心深いし、宗教の影響を強く受けています。
正月に初詣に行っておみくじを買うのは神道の風習です。
結婚式はキリスト教の神の前で永遠の愛を誓い、クリスマスにはキリストの誕生日を祝います。
死んだらお坊さんにお経をあげてもらい、お寺の裏の墓地に入ります。
どれも日本人の生活に深く根付いてはいますが、これらが宗教の存在意義でしょうか?
たぶん違いますよね。
ぜんぶ形式的な風習です。
神道はおみくじを売るために発展したわけじゃないし、キリスト教は結婚式をするためにあるわけじゃない。
仏教も、本職は葬儀屋ではありません。
宗教は何のためにあるのか
では宗教の本来の役割は何か?
もったいぶらずに答えを教えちゃいます。
宗教は、抜苦与楽のためにあります。
抜苦与楽は仏教の言葉ですが、「苦しみを無くし、幸せを与える」という意味です。
日本人にとって一番わかりやすい神道で説明してみます。
日本発祥の宗教といえば神道ですね。
神道といえば神頼みですよね。
子供が無事に生まれますように。
大学に受かりますように。
豊作になりますように。
交通事故にあいませんように。
神道に頼る時の内容は、だいたいこんな感じですよね。
これはまさに抜苦与楽です。
色々な神様に不幸を祓ってもらい、幸福になれるようお願いするのが神道です。
こういうことを言うと神主さんに怒られちゃいそうですが、僕のような神道ユーザーの立場から神道をみると、神道の価値は厄払いにあります。
抜苦与楽が宗教の第一義であることは、キリスト教でも仏教でも基本的には同じです。
人は、苦しみを無くし、幸せを手に入れたいから宗教にすがるのです。
ユダヤ教が始まったのが、3300年前くらい。
仏教が始まったのは、2500年前くらい。
キリスト教が始まったのは、2000年前くらい。
イスラム教が始まったのは、1400年前くらい。
1000年以上前といえば、人は今より簡単に死んだし、奴隷などの不遇な身分に生まれた人たちも大勢いました。
科学なんてあってないようなものだったし、自由や平等といった基本的人権もこの当時はまだありませんでした。
昔は、人に抜苦与楽を与えてくれるものとして、宗教は非常に優秀だったんです。
さて、時代は変わって今は2020年です。
科学の発展で、色々なことが変わりました。
医学が発達して、人は昔と比べれば簡単には死ななくなりました。
食べ物も豊富にあって、飢え死にすることもありません。
法律やテクノロジーの発達で、生活の質は格段に向上しています。
以前は宗教が果たしてきた抜苦与楽の役割は、たいぶ他のものにとって代わられました。
では、今の世の中で宗教が果たすべき役割とは何でしょうか?
心のよりどころ?
コミュニティー?
文化?
微妙ですよね。
例えば、家族や恋人、仕事だって心のよりどころになりえます。
PTAや町内会だってコミュニティーです。
アニメやアイドルだって文化です。
これらは宗教の本質ではなさそうです。
宗教の本質的なところは、宗教にしかできないことを考えればわかるはずです。
宗教にできて、他のものにできないこと。
宗教にしか、答えられないこと。
何だと思いますか?
僕は、『死を解決すること』だと思います。
死の問題
ちょっと考えてみてください。
あなたも私も、100%確実に死にます。
しかも死んだ後どうなるかは、不明です。
これって、けっこう重大な問題だと思うんですけど、どう思います?
僕はけっこうヤバい問題だと思うんですよね。
コロナウイルスもヤバいけど、たぶんコロナよりずっとヤバい感じがします。
今の世の中は、あなたの人生を豊かにしてくれるものであふれています。
家族、友人、仕事、生きがい、趣味、科学、道徳、マナー、文化、スポーツ等々。
生活の質は向上するし、寿命も延びます。
でも100%確実に死ぬという問題と、死んだ後どうなるかという問題に答えてくれるものは、意外と少ないのです。
この重大な問題を取り扱っている唯一のサービスが、宗教です。
これだけ科学が発達した現代でも宗教が廃れないのは、宗教が取り扱う「死の問題」という市場に競合サービスが存在しないからです。
ただし、宗教団体はそれこそ星の数ほど存在します。
宗教業界は、飽和状態のマーケットです。
宗教を信じそうな人は、だいたい顧客として囲われている状態です。
だから僕にもあなたにも、新規の営業が来るのです。
***続く***