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David Bowie-Changes-和訳独自解説

本作「HUNKY DORY」の発表は'71年12月で、半年後の'72年6月に 「ZIGGY STARDUST」が発表されていることからも分かるように、この2つの作品は当時ほぼ平行して制作が進められた。この頃のボウイの創作テンション高かったかがうかがえるが、結局ジギーのコンセプトから外れる作品を集めて先にリリースされたのがこの「HUNKY DORY」である。
ここには次作に見られるSF感やド派手な仕掛けは見られないが、ジギーの要素や、人間味やジギーの影も感じさせる。アルバムカヴァーは長い金髪をかき上げたボウイの肖像である。カラー写真が普及する前になされていたように、白黒写真に後から着色されており、私が行なっているスクリープリントの表現に似ている。
その名もずばり「Changes-変化-」とされたオープニングは、以後のボウイのアーティスト・イメージを予知していて、変化を歌うことが一つの普遍的なテーマになっている。この頃ボウイには当時の妻アンジーとの間に子供が誕生しており、この「Changes」にも見られるように、本作にはそ
こから刺激を受けて世代の変遷をテーマにした作品が目立つ。


Lyrics-歌詞(日本語訳)

I still don't know what I was waiting for
And my time was running wild
A million dead-end streets
Every time thought I'd got it made
It seemed the taste was not so sweet
So I turned myself to face me
But I've never caught a glimpse
Of how the others must see the faker
I'm much too fast to take that test

僕はいったい今まで何を待っていたのだろう
荒々しく時は駆け巡っていったが
いつも行き止まりの道ばかり
上手くいくと思う度に
そんなに甘いものではないと知らされた
そうして 自分に向き合ってみるが
僕はそのような視線を今まで一度も気に掛けたことはない
他人たちがいかさま師でも見るようなあの視線を
僕はそうしたテストを受けるには僕はあまりにも迅速すぎるんだ

Ch-ch-ch-ch-Changes (Turn and face the strain)
Ch-ch-Changes
Don't want to be a richer man
Ch-ch-ch-ch-Changes (Turn and face the strain)
Ch-ch-Changes
Just gonna have to be a different man
Time may change me
But I can't trace time

変化(自分の血統に立ち向かえ)
絶え間ない変化 別に金持ちになりたいとも思わない
変化(自分の血統に立ち向かえ)
絶え間ない変化 別な人間に生まれ変わらなくては
時は僕を変えるだろう
しかし 時を辿ることはできない

I watch the riplets change their size
But never leave the stream
Of warm impermanence
So the days flow thru my eyes
But still the days seem the same
And these children that you spit on
As they try to change their worlds
Are immune to your consolations
They're quite aware of what they're going thru

さざ波が形を変える様に目をやる
次々と移ろいゆく水流の中で
波紋もまた常に変化していく
そうして 日々は目の前を去るが
それは今もなお 変わり映えがしない
あなたが無下に扱っている子供たちが
自分達の世界を変えようとしている時
彼らにとって あなたの物言いなど  
 まるで意味をなさない
彼らには自分達のしていることが
 よくわかっているのだ

Ch-ch-ch-ch-Changes (Turn and face the strain)
Ch-ch-Changes
Don't tell them to grow up and out of it
Ch-ch-ch-ch-Changes (Turn and face the strain)
Where's your shame
You've left us up to our necks in it
Time may change me
But you can't trace time

変化(自分の血統に立ち向かえ)
絶え間ない変化
大人になれだの卒業しろだの  
 彼らに言ってはならない
変化(自分の血統に立ち向かえ)
目を覚ますがいい
あなたは自分が厄介者だということに  
 気づかないのか
時は僕を変えるだろう
しかし 時を辿ることはできない

Strange fascination, fascinating me
Changes are taking the pace I'm going through

不思議な魅力が 僕を魅了する
僕は変化と速度を共にする

Ch-ch-ch-ch-Changes (Turn and face the strain)
Ch-ch-Changes
Look out you Rock 'n rollers
Ch-ch-ch-ch-Changes (Turn and face the strain)
Ch-ch-Changes
Pretty soon now you're gonna get older
Time may change me
But I can't trace time
I said that time may change me
But I can't trace time.

変化(自分の血に立ち向かえ)
絶え間ない変化
気をつけろ ロックンローラーの諸君よ
変化(自分の血統に立ち向かえ)
じき 君たちもすぐに年を取るさ
時は僕を変えるだろう
しかし 時を辿ることはできない
時は僕を変えるだろう
しかし 僕は時を辿ることはできない

解説

" Tum and face the strain このコーラス部分は世界的にも一般には "Turn and face the strange" (奇妙なものに 目を向けろ) であると思われているが、 "strange" と歌われるようになるのは74年ツアーで、スタジオ版およびスパイダース時代の演奏では明らかに"strain" (血統、血筋、家系)と歌われているように聞こえる。 ボウイの家族関係の問題を考えると、このライン "変わらなくては”と歌われるこの曲の書かれた背景には、「運命と向き合い、常に自分を変えていけ」という普遍的なメッセージがある。ボウイ自身やボウイの息子に対しての強いメッセージだ。

自分に向き直り見つめ直して自分の中の本物を見つけるのではなく、「別な人間」に生まれ変わらなくてはならない、とボウイは歌う。「時は僕を変えるだろう しかし 時を辿ることはできない」時間は慎重にたどって追跡できるものではなく、自分に変化を強制する何かなのである。
「不思議な魅力」っと歌うところでは、わずかの間に美を生み出すモダンな感性は持続を拒み、変化を求める。そこに「流行り-モード」の時間制が生まれる。変化こそが創造の時間を刻む。モダンな芸術は「現実」の否定を思考することによって、結果的には現代の作品の中で強い力が生まれる。

息子が生まれたことからもあるが、自分たちの世界を変えようとしている子供たちの邪魔はするな、と大人たちに呼びかけて、さらに売れているロックスターに向け、君達もすぐに歳を取るさ、と警告している。後者はおそらく「歳をとる前に死にたい」と歌ったザ・フーの1965年のヒット曲「マイ・ジェネレーション」に対する返答でもある。そしてサビの歌い方「チェ・チェ・チェ・チェ・チェンジズ」と少し吃ったような歌い方もオマージュのようにも思える。変化を自ら強いることによって、自然の時間帯とは異なる、モダンな時間制を体現しなければならない。と強く歌っている。

最後にYoutubeに:[和訳] David Bowie - Changes (Live performance Glastonbury 1971) こんなものをアップしてみたのでぜひみてください。

BamBron Sota
バンブロン・ソータ
Instagram:@bambron_ch_ch_changes


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