押しすぎも控え過ぎも発酵しない
様々なタイプ、種類の仕事をプロデュースしています。
企業の人材育成の総合デザインから個別の研修の設計、企業の離職率低下のための施策設計、個人のフリー講師のプロデュース、コミュニティ運営のプロデュースなどです。
つくづく プロデュースの仕事は奥深いな、と感じます。
そして、人や組織を発酵させていくためには、非常に大事な役割、欠かせない存在なのだと、責任感を持ちながらも自負しています。
そんなプロデュースの仕事。
色々な痛い経験を重ねて、人や組織が発酵していくために、こんな事が大事なんじゃないか・・?と思うことがあります。
それは、タイトルにも出した、押し過ぎも控えすぎも駄目よ!
というテーマです。
過去のプロジェクトワークでの失敗談
プロデューサーは前に出過ぎても後ろに控え過ぎても・・・
そうか!菌の相互扶助の世界感こそが大事だったのか!
この話を語るに欠かせないのが、もう10年以上前のある出来事です。新規事業や新商品開発のプロジェクトのプロデュースの仕事でした。プロジェクトなので、多様なメンバー(参加者)と、長期間に渡って関わっていきます。コンサルタントの支援から、クライアントのゴールがブレないように、また参加メンバーのモチベーション管理など、多様なプロデュース機能が求められるので、腕が試されます。特に、こういったプロジェクトの場合は、メインコンサルタントと、私達プロデューサーとの役割、立ち位置の「線引き・分担」が非常に大事です。
こういったプロジェクトにおいて、私は一時期、自分を見失っていた時期がありました。今でこそ、あれは良い貴重な経験だったな、と思い出せますが、当時はかなり困惑していたことを覚えています。
それは、プロデューサーである私が、コンサルタントよりも前に出過ぎてしまった、コンサルタントの役割や機能を殺してしまうような立ち回りをしてしまったことでした。原因は、メンバーがあまりプロジェクトに乗り気でないまま数ヶ月が過ぎてしまい、焦りもあって、メンバーへの働きかけを、コンサルタントと協調せず強引にしてしまったことでした。
メインコンサルタントから諌められ、クライアント事務局からは「原ちゃん、焦らずに!」と暖かく言って頂きました。当時の私は「良かれと思ってやったるだけどな、、、」と思ったのですが、現実に私がしたことで状況は何も良くなっていない、、、そんな現実を目の当たりにして、自分の独走を理解したものでした。
その後反動からか、今度は逆に「プロデューサーです!」とも名乗らず、単なる「企画営業マン」の立ち位置に引きこもってしまいました。僕は、前に出ないほうがいいんだ、、、という間違った理解をしてしまったのです。どこかオドオド、そして自信なさげだったのでしょう。すると、今度は、クライアントのプロジェクトオーナーからは、役割不足、もっと言うと、存在価値はあるのか?ぐらいの叱咤激励を頂いてしまいました。
この頃は、じゃあどうしたら、、、
困惑するばかりでした。
前に出ても、出過ぎるが怖い
控え目にしてても、役割不足
そんな、困惑をしたままの状態がしばらく続いたのをよく覚えています。
しかし、今ならこう思います。
組織発酵学 第6の法則
「発酵は菌の相互扶助のお陰」
力を抜いて、その場の状況をよく観察して、その場が目指したいことを感じ
その向かいたい方向に寄り添っていくこと
こうした考えができずに、白か黒かというジャッジをしたがった
プロジェクトが遅れているから、スケジュール管理しなくちゃ
事務局もコンサルタントもいるのに、自分だけが力入ってしまった
発酵学からはこう読み解くことができる過去の出来事です。
発酵の世界にやはりヒントがあったんです。
プロデューサーは、難しい立ち位置だと、最近よく思います。
多様な関係者がいる中で、要となる役割も求められます
しかし、主役ではない
皆さんを引き立て、旨味を出していくのが役割じゃないかと
「お互いの菌が向かいたいところに向かって相互の菌の働きを高める」
そんな存在・役割なのだと、今は思うのです。
皆さんも、企画やプロデュースの場面で
「発酵させる役割」を今一度思い出して頂けると幸いです。
組織発酵学®プロデューサー
原 佳弘