見出し画像

発酵は誰かのために、そして自らのために

組織発酵学のコンセプトを思い浮かんでから、色々な情報収集や研究活動を行いました。特に、一番最初に感動した「発酵の世界」に起こる出来事がありました。それは、日本酒の醸造過程において、様々な菌がハーモニーのように、それぞれの役割をバトンタッチしていく様でした。

画像1

発酵の世界の方には、それはもう著名な本「発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方」寺田 啓佐 さんの本から。

要点だけ簡潔に説明すると、まず硝酸還元菌がタンクの中出立ち上がり、タンクを殺菌し役目を終えるとすっと消え、次に乳酸菌が、次に来る酵母のためのエサを生成し、これまたすっと役目を終えると消え、そして最後に酵母が乳酸菌が作ったエサを元にアルコールを生成するというのです。(細かい説明は省いています)

なんとまあ、潔い!
自分の果たす役割を果たしたら、次の菌のためにその場を引く
俺が!俺が!でなく
いつまでも居座るのでもなく
自らが生き生きと自分の天命を果たし、次の世代の役にたっていく
それはイヤイヤでもなく、それが当たり前の自分の生き方であるかのように


この図と説明を聞いた時、人の成長や組織の話と、全く一緒じゃないか!、やっぱり生物の世界で何十万年と起こってきたことは、人や組織に通じるんだ!と激烈に感激したのを覚えています。

組織発酵学®では、固定概念を外すこと共に重要な法則として、この菌同士の相互扶助の意味や価値をお伝えしています。まず自分がやってみることは大事だけど、それは誰のため?そこが定まってきたら、自力だけでなく、他力を借りてみようよ、だれかの成長や自発性を育てる事になるかもしれないし。また、自分でトコトンやりきったらたまには止まろう、休んでみようよ、止まってみて見えてくるものがあるはずだし、とことんやったなら誰かが見てて声をかけてくれるはずだから。こんな事を多角的に実感し、実践してもらっています。

今日はちょうど、2021年の年末。
私も、色々な角度から振り返りをしました。

その意味では、今回取り上げた、相互扶助的な動き方、誰かにお願いする、といったことが、やや欠けていたな、自力でガムシャラに走るだけだったな、という点が浮かんできました。以前、この記事でも取り上げたような、「ただいま発酵中!」というより、急ぎ、頑張るばかりだったかな、という気づきです。

日本酒の醸造過程のように、自分でも、あるいは当社の中でも、こうした「ただいま、発酵中!」がコンセプトが染み込むことで、より多くの方に「醸し、醸され旨味が出る人・組織」へとつながっていくことを、来年からもますます続けていきたいと思います。

2021年12月31日

組織発酵学®プロデューサー
原 佳弘


いいなと思ったら応援しよう!