スリランカの道徳は路線バスでまなべる 《夫婦世界一周紀22日目》
道徳教育は机上ではなく路線バスで学んだと思う。小学生の頃は毎日バス通学だった。乗り遅れたのにわざわざドアを開けてもらった時には優しさを学んだし、しっかり追いつけたのにドアを開けてくれず「バスはもう出発しちゃったんだよ」と言ってきた運転手さんには世間の厳しさを学んだ。
顔なじみになって運転中ずっと会話していた運転手さんもいたし、乗り過ごしてべそをかいていたら「お代はいいから」とぐるっと一周するまで乗せてくれた運転手さんもいた。障害者に厳しい人も優しい人もいた。間違えてベルを鳴らしてしまって、そのことを言えずずっと後悔したこともあった。
全てが今の僕の糧になっている。同じ時間だけ電車にも乗っていたが、ドラマに遭遇することはなかった。路線バスだけに与えられるちょっと素敵なドラマだ。
それはスリランカの路線バスでも例外ではない。ネゴンボ発キャンディ行きの路線バスでの180分には、様々なドラマがあった。
スリランカのバスには時刻表がないという。人がまばらに集まったらスタート。僕とフウロがバスターミナルに着くと、ちょうどキャンディ行きが出発すると言う。バスのお尻に荷物を詰めるが、荷物預かり代金は運転手のさじ加減で決まるらしい。
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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。
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2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…
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