鮎が思いがけないものに……
魚の名前を表す漢字。
数が多くすべて似ているように見えるため覚えるのも大変ですが、それぞれの漢字を見ると「ああ、なるほど」と頷くことも多く、なかなか楽しいものです。
外国の方へのお土産などには、これらの漢字をプリントした湯のみ茶碗やマスキングテープなども喜ばれますね。
ところで漢字は日本だけではなく、中国・台湾・シンガポール・マレーシア
などでも使われています。
その中でも特に、日本と同様に主要な文字として漢字を使っているのは中国と台湾ですが、漢字を使っているから同じ意味だろうと安心していると、思わぬ違いに驚かされることがあります。
有名なところでは「鮎」。
私達はこの漢字から、うっすらと金色に輝く気品のある姿を持つ清流の女王とも言うべき魚を思い浮かべますが、中国ではこの漢字は清流の女王とは呼び難い「ナマズ」を意味します。
日本の古い記録にも「鮎」の文字は出てきますが、奈良時代くらいまではこの文字はやはり「ナマズ」の意味で使われており、実際のアユは「年魚」や「細鱗魚」などと記載されていたようです。
では、中国語では「アユ」はなんと呼ぶのかというと「香魚」です。(地域的に別の呼び方もあります)
この呼び方は日本でもおなじみですね。
ちなみに「鮭」も、古代中国では「フグ」を意味しました。
当たり前だと思っていたことが実は(昔は)違った、という事はよくありますが、それを知るたびに新鮮な驚きを感じずにはいられません。