シャーロック・ホームズ『緑柱石の宝冠』の感想を言い合うつむぎとおじさん。
※一部、作品の核心に触れる箇所があります。ご理解の上、お楽しみください。
(場面:おじさんのアパート。つむぎが入ってくる)
つむぎ「おじさん、起きてる? あたし、いい話読んできたんだけど。」
おじさん「おお、つむぎか。何だ、またホームズか?」
つむぎ「そう。『緑柱石の宝冠』ってやつ。あたし、ホームズがあんなに動くのを読んだの、初めてかも。で、感想聞きたいから来たんだけど?」
おじさん「感想ねえ…うん、たしかに面白い話だよな、あれ。緻密な推理がさ、なんていうか、やっぱり流石だよね。」
つむぎ「へぇ。で、どの辺が流石だと思ったの?」
おじさん「ど、どこって…ほら、あの足跡のくだりとか…」
つむぎ「足跡のくだり“とか”? なるほどねえ、やっぱり読んでないんだ。」
おじさん「ちょ、ちょっと待て! 断定するなよ!ちゃんと内容は知ってるんだって!」
つむぎ「ふーん、それじゃ聞くけど、ホームズが雪の足跡から何を見抜いたか、説明してよ。」
おじさん「えーと、それはだな…なんていうか…ほら、状況を理解して、追跡したんだろ?」
つむぎ「うわ、雑。おじさん、もしかしてホームズの名を借りて適当なこと言ってない?」
おじさん「ぐっ…まあ、正直言うと読んでないんだ。けど、ホームズの魅力は知ってるから!」
つむぎ「知ってるって言うなら、ちゃんと読んでから感想語ってよ。あたしなんか、最後のページで唸っちゃったんだから。」
おじさん「そんなにすごいのか?」
つむぎ「うん、すごい。雪の足跡を手がかりにしたのもすごいけど、それよりもホームズが『人間の感情』をちゃんと見てたところがね。」
おじさん「感情?ホームズって、クールで論理だけの人じゃないのか?」
つむぎ「そう思ってる時点で、おじさんはホームズを全然分かってないってことだね。彼、最後に依頼人に向かって結構厳しいこと言うんだよ。でも、それがちゃんと愛情なんだ。」
おじさん「愛情…か。それはちょっと意外だな。でも、その依頼人も大変な目に遭ったんだろ?」
つむぎ「そうね。でもね、その依頼人がホームズに助けを求める前に、もっと気づくべきことがあったんじゃない?って思うのよ。」
おじさん「気づくべきこと?」
つむぎ「家族を疑うんじゃなくて、信じる努力をもっとすればよかったんじゃないのって話。ホームズがいなかったら、あの人の家族、壊れっぱなしだったかもよ?」
おじさん「なるほどな…。でも、それを教えるのがホームズの役目なんだな。やっぱりすごい探偵だ。」
つむぎ「そうそう、だからおじさんもホームズを見習ってさ、もっとちゃんと人を見る目を養ったほうがいいよ。特に、あたしみたいな優秀な子を見抜く力とかね。」
おじさん「お前、ちゃっかり自分を持ち上げるなよ…。でも、確かにホームズの視点は参考になりそうだな。で、次に読むべき話は?」
つむぎ「次の話の前に、まずはこの『緑柱石の宝冠』を読み直してからね。次に会う時までに読んでおいて。宿題だから!」
おじさん「ええっ…読書が宿題?作家志望を甘く見るなよ!」
つむぎ「甘いのはおじさんでしょ。頑張ってよ、もう!」