コンサル会社に転職し、ブラックな日々が始まる話
大手優良企業から転職を決意
新卒で入ったのは、いわゆる大手優良企業。ブラック企業とは無縁、組合も強く労働環境としては申し分がなかった。
そんな恵まれた環境で、なぜか私は某外資系戦略コンサルティングファーム「B〇G」の方から手ほどきをうけ、コンサルタントとして育てられることになる。今振り返ると意味が分からないが、実際に発生した事案だ。
「私をどうしたかったのか?」
当時の役員に問いただしたいが、今となっては叶わぬ。
コンサルタントとして実力をつければつけるほど、当然のことながら社内業務では物足りなくなる。なぜ私はここで働いているのだ?なぜこの安月給でこのクオリティを求められるのだ?不満は特になかったが、次第に自分の居場所がなくなっていくのを感じていた。
結果、転職を決意するに至る。
ベールに覆われたコンサルティングファーム
大企業の内部とはいえ手取り足取りコンサルティング業務を教えられていたせいか、転職は難なく成功した。私は晴れて「なんちゃってコンサル」から「正統派コンサル」になった。
その頃からだ。友人知人から何度も同じ質問をうけることになる。
「ねぇ、戦略コンサルって実際何してるの?」
聞かれるたびに説明するが、ピンと来ていない。どうやらコンサルタントの職務内容をベールにつつまれた秘密任務のように捉えているらしい。
そうか、そんなにミステリアスなのか。
調子にのり、話を盛って伝えることにした。コンサルティングファームってすげー!と思われないとこちらも商売あがったりだしな、許せ。
しかし、実態は皆さんの想像と随分違う。
秘密任務?そんなかっこいいものはない。
むしろ実態は、変人狂人だらけのカオスだ。
じゃあその実態を教えろだと?
いいだろう。
待ち受けていたヘルメットと消毒液
まずは手始めに転職初日の様子からいこうか。
さすがに緊張気味な面持ちで会社に到着すると、総務のお姉さんたちが既に席を用意してくれている。感謝を伝え座ろうとする私。
「うん?」
何かが足にあたる。なんだ?
覗き込んだ私の目に飛び込んできたのは、デーハーなヘルメットだった。
「なんでこんなところにヘルメットがあるんだ...?」
訝しげな顔をする私に総務のお姉さんが説明を始める。どことなく木村佳乃風の美人、以降佳乃氏としよう。
さて、佳乃氏によるとヘルメットは災害発生に備え全員の机の下に備えられており撤去は許されないらしい。おお、そうか。社員の安全を守るのは素晴らしい取り組みだ。
続いて佳乃氏、でかい段ボールを私に手渡す。
なんだこれは?
「インフルエンザ予防用の消毒液、マスク、うがい薬です。撤去は許されません。」
お、おう?
インフルエンザ対策は大事だよな?でもな、まてよ、全社員がこのセット持つのか?私の理解を超えた状況だが、佳乃氏の発するどぎつい殺気からして恐らく余計なことは言うなということだろう。
「撤去は許されません」
どういうことだ。
机の引き出し、半分埋まったぞ。。。
私の中で静かに「違和感」という名のサイレンが鳴りだす。
知っている、この感覚。逃げろの合図だ。
しかし、時既に遅し。
長い長い初出社日が、幕を開けた。
(次へ)
Twitter: @soremaide
サポートは全て執筆中のコーヒーとおやつ代にあてられます。少しでも気に入ってくださった方、執筆者に続編に向けたエネルギーを与えてやってください。