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【SH考察:025】陽葦火山神社の歴史に関わったであろう廃仏毀釈とは
Sound Horizonの『絵馬に願ひを!』では、作中明らかに神社のみならず寺・仏教に関する言及がある。
そのため、神道・仏教が合わさり、そして分離するあたりを、陽葦火山神社のモデルとなったであろう日吉浅間神社の歴史とあわせて確認した。
対象
7.5 or 8.5 Story BD 絵馬に願ひを!
考察
秋津国の「陽葦火山神社」は、現実の「日吉浅間神社」をモデルにしていることが明らか。
(以下のように、作中陽葦火山神社として出てくる見た目が、明らかに日吉浅間神社そのもの)
その日吉浅間神社の歴史を読み解くと、絵馬に願ひを!にも関わる廃仏毀釈の話が登場する。
神仏習合と廃仏毀釈
神道と仏教が融合する現象のことを、神仏習合という。
江戸時代まではこの現象が続いていたが、明治時代に政府により神仏分離政策が実施された。
これにより、神仏習合が起きていた社寺は、どちらかに属することを迫られた。
結果、かつて存在した寺である東泉院は廃寺となり、その由緒は日吉浅間神社に引き継がれた。
つまり、廃仏毀釈(仏教を棄て釈迦の教えを棄てること)が起きた。
もとも東泉院の住職だった六所家の子孫は、今は日吉浅間神社の宮司となっている。
参考:
日吉浅間神社
実際に日吉浅間神社付近を地図で見ると、すぐそばに東泉院跡や旧東泉院宝蔵がある。
姫子の祖母が語った要素
姫子の祖母は「ある祖母の記憶」という独白をする。
彼女は明らかに仏教関係者だ。そう思える要素はいたるところに散らばっている。
(愛別離苦、煩悩、涅槃寂静はいずれも仏教用語)
来ている着物が七宝文様という、仏教的に縁起の良い柄。
「廃仏毀釈の頃からの浅からぬ縁」がある。
愛別離苦(親子・兄弟・夫婦など愛する者と別れる苦しみ)の苦しみを感じている。
煩悩(心の汚れ)に囚われ、涅槃寂静(悟りを開き静かで安らぎのある)の境地からは遠ざかると聞いている。
結論
この神道と仏教が合わさり、そして別れたという歴史が、作中秋津国でも起こっていたようだ。
そして、それが何か因縁を生んだようにも見て取れる。
このあたりの作中における事象は、発売後に確認するが、ひとまず今回まとめた「神道と仏教が合わさり、そして別れたという歴史」は知っておくと良さそうだ。
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他にもSound Horizonの楽曲考察記事を書いています。
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更新履歴
2023/06/05 初稿
2023/06/17 姫子の祖母が語った要素 更新