身体の存在はホログラム
私が多くのセラピスト、特にボディトリートメントを仕事にする人たちにお勧めしていた本が「ボディワイズ からだの叡智を取り戻す」(春秋社)です。
初版が1996年だからもう27年前の本です。
が、この本に書いてあることは、人間の心、身体、そしてスピリットの真理とも言うべきことなので、時代に関わらず必要な情報です。
大事な本は、何度でも繰り返して読みたい。
ただ、なかなか読み進められない本でもあるのです。内容が難しいわけではなく、1ページ、1ページの内容が深すぎて、興味深すぎて、1行読むごとに考えさせられるし、感動しちゃって、全然進まない^^
身体をホログラムで見る
この本では、「身体の存在はホログラムである」としていて、もちろん肉体が立体的であると同時に、肉体を作るものは知性、感情、精神的状態でもあり、これらを映し出すホログラムとして身体が存在している。
と、言っています。
これ第1章の書き出しにあった内容です。
その通りだ! 身体はただの骨と肉で出来ているわけではなく、感情やそれまでの経験、現在の精神状態がそのまま反映されている。
肩が凝っているから肩こりがあるわけではないんじゃないか?
肩が凝っているからといって肩周りの筋肉をほぐすだけではダメなんじゃないか?
今日肩が楽になっても、1週間後には戻っているのなら、それは身体の問題ではないのではないか?
と、ずっと自分の施術に疑問を持っていた私は、この時点で、あれこれ考えてしまって、全然進まなかった。(購入した当時)
記憶は身体にある
そしてこの本のすごいところは、欄外の注釈にも見過ごせない内容がふんだんに書かれているところ!
人体をホログラムで見る。ということの注釈欄に「人体をホログラムとしてとらえる認識は、1937年に・・・」と、説明があるのですが、この一文に
とありました。
これは、身体についての説明ですが、世の中のシステムって全てそうだと思いませんか?システムを組織と読み替えても良いのですが、どこか一部分が変わったとして、そこだけが変化するのではなく、全てが変わっていることになります。
だから、悪いところだけを除去して捨てれば良い、と言うことではないのです。
さらに「過ぎ去った出来事は、今もあなたの身体に刻まれている」とこの先の本文にあります。
私がボディトリートメントをしている中で、実は大事にしているところはこれです。
トリートメントをしていると、時々クライアントの現在の痛み以外の過去の経験からくる痛みを感じることがあります。
それは、私の直感や超能力ではなく、私が感じるのはクライアントの身体に刻まれた小さな「違和感」です。
クライアント自身は、馴染み過ぎていて、それを違和感と思っていないようだけど、セラピストである第三者の私からすると「違和感」。そこにあることに違和感のある痛み(歪み、強張り、緩みなど)です。
私たちは常に変化をしています。しかしその変化は、過去の私の記憶があるからこその変化で、今の変化によって、過去の私が無くなったり、消えたりすることはありません。
どのような小さな変化も、私全体を変えています。変わった自分が、さらに変わったと言うだけのことで、過去を書き換えることはできません。
でも馴染み過ぎている違和感は、向き合うための過去だったりすることがあるので、それをトリートメント後にお話しすることがあります。
過去は書き換えられないけど、向き合うことで理解し、消化することができるかもしれません。
すると、ホログラムとしての身体は、また小さな変化を起こすこととなるはずです。
つまり、身体は肉体のみで存在するわけではなく、感情が少し変わるだけで、快適にも不快にもなると言うことです。
病気と治癒
このように考えると、これまでの病気や怪我、あるいは手術などは、全て私の身体に刻まれた記憶です。
病気や怪我などは、癒える時がやってきて、あたかも「元」の私に戻ったような気になりますが、元に戻ることはありません。
治癒した私は、「病気(怪我)を経験した私」となって新しい身体の叡智を持って存在しています。
と、考えると、病気中はもちろんですが、病後、治癒後もこれまでの生活をすることは、身体が求めていることではないかもしれません。
違う記憶を持ちはじめた身体は、違う場所を望むかもしれません。
病気や怪我は、人生の転機。とよく言いますが、全くその通りで、同じところに戻ろうとすると、また同じ痛みを経験する可能性があります。
次の場所へ行くために、身体は新たな記憶を持とうとしているのです。
事実、病気や怪我を経験すると、今まで見えていた世界と、少し違う見え方をすることがあります。その感覚は、2日もすれば忘れてしまうかもしれないけど、その感覚を大事にしてほしいと思います。
新しく見えた世界が、新しい記憶を持った身体が望む世界です。
さあ、私はどこへ行こう。