第287話：🟢プロポーズ：短歌

プロポーズの歌を作ってみた。

月の地図リュックサックに押し込んで僕と「あした」を見に行かないか

二人で月を見上げながら、こんな言葉で愛をささやいてみる。　
「君たちがプロポーズに使いたければ、1000円でこの歌を貸してあげる」
という馬鹿な冗談を授業で言ってみたが、何の反応もなかった。
まあ、当然だろう・・。

もう一首。

悲しみの鞄カバンをいつも持ち歩く こんな僕でもついてくるかい

本音かもしれない、でもカミさんには言わなかったプロポーズの歌。
でも、たぶん不幸にしてしまったカミさんに、60歳を過ぎた今、もう一度聞いてみたい気もする。
いや、おそらく聞けずに終わるに違いない・・。
感傷的な若さが恥ずかしいし、「ついてくるかい」というのも時代遅れだろう。

男って、おバカでロマンチストだから、一生懸命プロポーズの言葉を考えたりする。

・君を一生幸せにしたい
・いつも、ずっと一緒にそばにいたい
・君と家族になりたい

くらいならいいかもしれないが、

・僕の太陽になってください
・毎朝、味噌汁を作ってくれないか
・一緒に人生を旅しよう

くらいでも、ひょっとしたらまだ許されるかもしれないが、昭和の不器用な男たちは、例えば

・オレのパンツを洗ってくれ

みたいに言った人もいるらしい。今の若い人だったら逃亡するに違いない。

・結婚してください
・好きだよ

このくらいが女性にとっては一番いいらしい。
男の努力は大概は無駄な努力であって、その無駄な努力が男なのかもしれない。

ことことと ことことと煮る里芋のあったかい夜のようだね　君は

冬の夜に、カマドやストーブで「ことこと」と里芋を煮るほんわりとした「あったかさ」を「君」に重ねてみた。

「これはいいだろう？」と生徒に言ってみたら、
「なにそれ、意味わかんなーい」と言われてしまった。

■土竜のひとりごと：第288話