さいと焼き
昨日はさいと焼きが行われた。
いわゆるどんど焼きのことだが、僕の住む地域ではこう呼ばれている。
正式には左義長と呼ばれる行事。
まず、近くの道祖神に供えられている石を中心に据える。
この石は古老によると、火の神らしく、終わるとまた道祖神に戻される。
次に、切り出してきた竹に四方から引っ張って支えられるように縄をかけ、石の上にまっすぐに立てる。
周りを、刈り落としてあった木々で覆い、全体を縄で結わえ、持ち寄られたお飾りやお札、しめ縄が置かれる。
火がつけられると、なかなかの迫力。
書き初めを燃やし、高く舞い上がれば字がうまくなるとも言われていて、子供たちが挑戦。
火が落ち着いてから団子を焼く。
あとは燠を囲み、酒を飲みながら、集まった人が語り合う。お菓子や漬物なども振る舞われる。赤々と静かに燃える燠の火を見ていると、落ち着く。
火を囲んで話す・・・コミュニケーションの原点のような優しい感じ。
一年でここでしか合わない人もいる。
ここに越してきたころは、14日の夕方から夜にかけて行われていた。
翌日の15日が成人の日だったので、夕暮れに火を入れ、深夜まで、子どもたちも火の周りで遊びながら、その親同士も語り合ったりして、結構ワイワイと楽しかった思い出がある。
ところが、ハッピーマンデー法ができると、翌日15日が祝日ではなくなったため、そういう在り方が難しくなった。その後は紆余曲折。14日に近い休日にずらしたり、やはり14日にやるべきだということで平日に行われたり。でも、平日の16時では参加できる人は限られていて、数年前から成人の日の前の日に落ち着いたようだ。
ただ、ご時世だろう。当日の朝に男衆が集まって準備をし、その日の14時に火を入れてしまう。16時頃にはすべてを終えて火も消されるというかたちになって来た。
コロナの関係で、今年は酒もふるまわれなかった。
世相の変化に「こんな行事も翻弄されてきた」と言ったら大袈裟かもしれないが、「あの頃がよかったね」などという話も出る。年を取った証拠かもしれない。
蛇足だが、ハッピーマンデーは3連休になるので賛成の方もいると思うが、僕はあまり好きではない。そのいわれのある日は、そのいわれのある日であった方がよいというカッコいい理由づけもできるが、むしろ怠け者の僕は、週の半ばに、ちまちま休みがあって息抜きできる方が好きだ。