和風ペンション
[ 日本語雑話:和語・漢語・外来語 ]
前に「おソース」は不適切か?ということで、「お」が外来語には付きにくいということを書きました。
けれど、「ご」はもっと付きにくいと言えます。
例えば、「おビール」と言ったとしても、「ごビール」とは決して言いません。「ごスプーン」「ごラケット」「ごネクタイ」・・みんな変です。
「御」の読みは「ご」「ぎょ」「お」「おん」「おほん」「み」などたくさんありますが、は基本的に漢語に付く場合には「ご」と読まれ、和語(やまとことば)に付く場合には「お」と読まれることが普通でしょうか。
「ご希望」と「お望み」
「ご旅行」と「お出かけ」
これは
音読み「ご」+音読み
訓読み「お」+訓読み
という原則的なルールに従うものですが、こうしてみると、外来語には「お」も「ご」も馴染まないのは不思議なことではないのかもしれません。
外来語が僕らの文化にある敬意表現の圏外にあると言えるでしょうか。
ついでながら、こうして和語と漢語を並べてみた時には、やはり漢語の優位性が感じられます。漢語は非日常(公式=ハレ)という日本古来の感覚が生きているようです。
という川柳がありますが、物忘れより失念の方がカッコいいという感覚でしょう。
外来語はさらにその上に存在するのでしょうか?
ちなみに、和語、漢語、外来語でいくつかの言葉を並べてみます。
やどや・旅館・ホテル
回り道・迂回路・バイパス
取り消し・解約・キャンセル
思いつき・着想・アイディア
和語より漢語の方が格上? 外来語はちょっと別格?って感じでしょうか。
いつだったか伊豆へ行った時、道端に「和風ペンション」という看板を見つけました。
ペンションとは「洋風の民宿」であるはずなので、ペンションは洋風でなければならない・・と思うのですが、結局これは「民宿」ことなのでしょうか?
民宿のイメージアップを狙っている?
昨今、巷は外来語に溢れていて、年老いてスカスカになった頭ではほとんど意味が分かりません。何かを始めようとネットを検索すると、カッコいい、わけのわからない、夥しいカタカナに行く手をふさがれます。
レジェンド・レガシー・インセンティブ・オンデマンド・ダイバーシティー・ノマドワーカー・ガジェット・・・。
動画編集とかしていてもわからないカタカナに出会い、そのカタカナをヘルプで調べるとわからないカタカナに出会い、それをネットで調べると、さらにわからないカタカナに出会う・・。
高校時分に英英辞典を引き、そこに出て来るわからない英単語をさらに英英辞典で引くと、さらにわからない単語が出て来て永遠に引き続ける・・という、あの時と同じような絶望感に打ちひしがれます。
老人にはつらいご時世です。
日本語よ頑張れ!と言ったところでしょうか。
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