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海外のエアラインに就職したいなら

パイロットの方や、これからパイロットになろうとする方からよく聞かれる質問が、どうやったら海外でエアラインパイロットになれますか、です。

現在、私のように海外でエアラインパイロットとして働いている日本人は、何百人とまではいかないかもしれませんが、何十人という単位ではいらっしゃると思います。

今回は、その具体的な方法を考えてみましょう。

海外でパイロットのかたち

海外でパイロットになるといっても、いろいろあります。

・パイロットの派遣会社に登録し、有期限の契約パイロットとして働く
・ビザサポートをしている会社に応募し、無期限フルタイムで働く
・自分が暮らしたい国の永住権を取得し、その国のフラッグキャリアで無期限フルタイムで働く

私が今回お話しするのは、三つ目の

・自分が暮らしたい国の永住権を取得し、その国のフラッグキャリアで無期限フルタイムで働く

についてです。

私は現在、ニュージーランドでフラッグキャリアの無期限フルタイムエアラインパイロットとして働いています。コロナで世界中のエアラインが大変なことになっていますが、労働組合が強く、今のところ雇用は維持されています。コロナ以前の労働環境には満足していましたし、後述しますがニュージーランドでの生活自体にも非常に満足しています。

この、三つ目のオプションは、かなり欲張ったオプションです。自分に合う国の、一番待遇のいい会社で働こうというのですから、一筋縄ではいきません。

本当に暮らしたい外国が、そもそもあるか

まず大事なのは、そもそも日本を出て暮らしてみたい国が、本当にあるかです。なぜ、海外に出たいのでしょうか。日本が嫌になったからでしょうか。それとも実際に暮らしてみて、気に入った国があったからでしょうか。

実体験なしに、海外で働こうと考えるのは、かなりリスキーです。なぜなら、海外で働くことは、外国人労働者になることだからです。

どんな国も、自国民の就労を外国人労働者より優先します。外国人労働者は常に不安定な立場に立たされます。ですから、すでにパイロットとして働いている者がわざわざ海外に出るなら、その守られた地位を捨てて余りあるメリットがなければ、合理的とは言えません。そして、少し考えてみれば、そのメリットを測定することは、実体験なしには不可能だとわかります。

メリットを示す上でもっともわかりやすいのは給料の多寡ですが、外国人にたくさん給料を払うのは、金以外の魅力が少ない国だと個人的には考えています。そして、いくら給料が良くても、生活の場として根を張れない土地からは、遅かれ早かれいずれ離れることになるでしょう。それを承知の上で、期間を決めて「出稼ぎ」に行くなら、悪くないかもしれません。しかし、これは日本に戻ることを前提としているので、今回の話には当てはまりません。

私が今、お話ししているのは、生活の拠点を半永久的に国外に移す話です。

日本でパイロットになってから出るべきか、パイロットになる前に出るべきか

海外でエアラインパイロットになりたいと言う人に対して、ほとんどの現役パイロット、しかも海外で働いている現役パイロットの方は、こう言うと思います。

A. まず日本でエアラインパイロットになって、ジェット機の経験を積んで、パイロットとしての価値を上げてから、海外で勝負しろ。

しかし、私はあえてこの逆を張りたい。

B. まず海外に出て、いくつかの国で短くてもいいから暮らしてみて、日本以外に自分が暮らしたい国を見つけてから、パイロットとして勝負しろ。

なぜでしょうか。

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