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JALの飲酒問題に「怒る」ひとたち

JALのパイロットが、また飲酒問題を起こしていますね。

メルボルンとあって、身近に感じたわけですが、もっとびっくりしたのは、JALがこの便を欠航させなかったことです。飲酒検査に引っかかったパイロットを、アルコール検査の数値が下がるまで待って3時間遅れで出発させる。うちの会社だったら、考えれられないことです。

そして、この事件に対する会社の措置は、JALパイロットに対する、ステイ先飲酒の禁止。

まぁ、当面の処置として会社としてこうなるのはやむを得ないでしょう。しかし、これが単なる対処療法であることは明白で、問題は、繰り返される飲酒問題に対して、会社がどう抜本的な対策を打つのかですが、当便を欠航させなかったことから鑑みるに、あまり期待できそうにありません。

そんな中、今回の問題に対し、強い言葉で批判をする投稿を見つけました。

ひでぇもの言いですね。文脈から読み取るに「お前ら」とはパイロットを一般化した表現で、当然方々から(特にパイロットの人たちから)反撃を受けているようです。

私はこの投稿をみたときに、まぁそう言いたくもなるよね、と一瞬、思ったんですが、すぐに「これは違う」と気がつきました。よく考えると、この問題で現在、直接、影響を受けているのは「JALのパイロット」だけで、こちらの方はそうではない(はず)ので、こんなに怒るのは、おかしいのです。

この方は、どうしてこんなに怒っているのだろう。そこで思い出したのが、こちらの全く別の投稿でした。

電車内で電話するのってなぜだめなんでしょう??

「電車内で電話するのってなぜだめなんでしょう??」

私はこれを見て、ごく自然に「確かにそうだ。なんでだろう」と思いました。NZでもAUSでも香港でもシンガポールでも、電車の中で通話をしてはいけない、というルールはなかったからです。至極真っ当な、メタな、いい問いだと思いました。

ところが、これに対してほとんどの回答が「マナーなんだから」とか「他の人の会話を聞くと不愉快になるから」とか「鉄道が会社がそう言っているんだから楯突くな」とか、要するに「電車内で電話をすること」に否定的な意見が多かったのです。

投稿の中でも、「おじさんが『電車内で電話するな!迷惑だろ!』で大声で怒鳴ってキレていた。」とありますね。

みんな、いつも何かにイライラしている

「いい加減にしろよクソが」とか「迷惑だろ!」と大声で怒鳴るとか、どうしてそういうことになってしまうんでしょうか。よーく、よーく、考えてみると、そんなに怒ることじゃ無いはずです。そんなことないと思いますか?怒っても仕方がないと?本当にそうですか?本当の本当に?

「いい加減にしろよクソが」というセリフを吐いたり、「迷惑だろ!」と大声で怒鳴るという行為には、リスクが伴います。つまり、自分の怒りがそっくりそのまま自分に反射してくるというリスクです。強い感情を乗せた言葉や態度は、周りに反応を強要します。そして、多くの場合、公共の場で汚い言葉を吐いたり、怒鳴る人は、怒鳴った相手が同じように激情に駆られて反撃してくるリスクを想定していません。これは非常に危ういことです。

さらに悪いことに、自らの激情を制御しきれず、反射的にその行為を選択してしまっているということに、当人が無自覚です。

どうしてこうなってしまうのでしょうか。

さきほど、「そんなに怒ることじゃ無いはずです」と言ったときに、いや、これは怒っても仕方がないと考えた人は、少し注意した方がいいかもしれません。激情に駆られた言動をした人は、それに対して周りが反撃してくると、いかに自分の怒りが当然かつ、まっとうであるかを証明しようとします。つまり、「これは怒っても仕方がないでしょう」と、目の前の事件の悪辣さをあげつらって、自分の怒りを正当化しようとします。

でも、そうではないのです。あなたが怒ったのは、今、目の前にある事件に際して純粋に、初めて、怒りが発生したからではなく、あなたの中に元々あった怒りや妬みや人生に対する絶望が、穴を見つけて吹き出してきただけの話です。自分の中に、怒りを溜めている。どうして私がこんな目に。俺は悪く無いのに。こんなにがんばっているのに。どうして、どうして、どうして、、

考えてみれば、しんどい話ですね。

世界は思い通りにはならない

どうして自分は公共空間で汚い言葉を使ったり、怒鳴ってしまうのか。そうせざるを得ないほどの怒りが、なぜ自分の中に溜まっているのか。そして、もうそんなふうに怒りを抱えて生きていくのは嫌だと思うのならば、本当にそれを解決したいのであれば、真の原因を追求しなければなりません。

ツイッターでアカウントを作って、そこに愚痴るのもいいでしょう。でもそれは、JALが飲酒問題が起きるごとに禁酒令を出すのと変わりません。単なる対処療法で、パイロットの飲酒問題が再発したように、あなたもどこかでまた「クソが!」と怒鳴ることになるのは自明です。自分の怒りの元がなんであるかを、ちゃんと考える必要があります。

あなたはこんなふうに考えていませんか。

私は正しい。

悪いのはあいつ。

だから、可哀想なのは私。

私はこれだけ頑張っている。

でも、世界は私を評価してくれない。

だから、悪いのは世界のほうで

可哀想なのは私。

変わるべきはあいつや世界の方で

心配されるべきは私。

なのに、誰も心配してくれない。

ルールを守らないのはあいつで

守っているのは私。

なのに、世界は私を守ってくれない。

だから、変わるべきのは世界のほうで

加害者はあいつで

被害者は私。

悪い知らせ

世界は、あなたの思うようには変わりません。
あなたも、あなたの思うようには変わりません。

良い知らせ

あなたが世界を見る視点を変えると、そのとき、世界が変わります。

世界が思い通りにならないときに、汚い言葉や怒鳴り声をあげて世界を変えようとするのは、子供だけです。あなたがまだ、日常的にそうしているのなら、何歳であれ、あなたはまだ子供です。

世界は、自分のために存在しているわけではないんだと視点を変えてみると、その瞬間に、結果的に、世界が変わります。それが大人になるということではないでしょうか。

あ、あと筋トレがいいです。筋肉がつくと、視点は確実に変わります。冗談みたいに聞こえるかもしれませんが、とにかくスクワットです。

応援しています。


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