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雲と揺れの話~パイロットの空のミカタ~

飛行機のコクピットに座っていると、地上からは同じ場所にあるように見える雲が、実際にはかなりの高度差を持っていることに気が付きます。

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下に層積雲、上に巻雲の亜種が見えます。形も高さも質感も全然違うのが分かると思います。

「洗濯板」でわかる雲のできかた

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高積雲(羊雲)と呼ばれる雲です。

並んでいる羊、縞模様、あるいは「洗濯板」など、いろんな形に見えますが、これは気流が波打っていることを示しています。洗濯板でいえば、洗濯物をこする方向(シマシマと直角の方向)に気流が流れていて、それが上下にうねうねと波打っているのです。

空気が上に持ち上げられると、温度が下がってそれまで空気の中に溶けて透明になっていた水蒸気が小さな水滴(雲粒)として姿を現します。これが白く見える雲の正体で、次の瞬間に空気が下に行くと、また空気の中に溶けて透明になる。これを繰り返すことで洗濯板のような模様ができます。

だから、厳密には「水蒸気」は肉眼では見えません。

下層の雲と風

気流は様々な理由で波打ちますが、地表の凹凸がその原因となることもあります。

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これはニュージーランドの北島と南島の間のクック海峡の写真です。写真の、北島のウェリントン(右手前)と南島のブレナムやピクトン(左奥)など、陸地の上空だけに雲があることに注目してください。これは、風が地表に沿って流れるために、強制的に発生する気流の上下動が原因です。

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もちろん、海上に発生する雲もありますが、この日はそういう状況になかったということです。

上層と下層の風向きの違い

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この写真からは、気流の方向が見て取れます。

上層の高積雲のパターンを見てみましょう。左から右に流れる気流で「洗濯板」になっています。一方、地表では写真の奥から手前に向かって流れる気流の流れが見えます。わかるでしょうか。

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写真手前、雲のない場所がぽっかりと口を開けて地表が見えています。これは、山の風下側で下降気流になっているためです。そのすぐ奥、画面中央に山のてっぺんに沿って横に伸びている雲は、山を駆け上ってきた上昇気流の頂点、そのさらに奥にはまた雲がないので下降流域、そのさらに奥には、、先ほどのように、「洗濯板」が見えると思います。

つまり、この写真では下層では奥から手前に、上層では左から右に向かって風向きが変化しています。下から上に行くにつれ、風向きが時計の針を「戻す」ように変化しているので、この状態を「Back」していると言ったりします。

雄大積雲(TCU)と積乱雲(CB)

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さて、よく見ると、下層の雲はべったりしているところと、垂直にもくもくと頭を出しているようなところと、二種類あります。

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もくもくしているところは、急激な上昇気流が発生しているところです。先ほどと同じように、上昇気流で持ち上げられて現れた雲が、雲自身がもつエネルギー(潜熱といいます)によってさらに温められ、そのことによりさらなる浮力を得て上っていく。ある条件がそろうとこのサイクルがどんどんと続いて、写真のように背の高い、垂直方向に成長した雲となります。これらは、雄大積雲(TCU)と呼ばれます。

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TCUを5、6個ほどひとまとめにして、写真の上に浮かんでいるパサパサした雲(巻雲・巻積雲)のところまで、つまり成層圏界面まで達するほど成長したとしましょう。これが積乱雲(CB)です。

CBはケタ違いに巨大な雲で、中はとてつもない上昇気流と同時に下降気流が存在し、雲や雨がお互いにこすれることで発生した電位差により、雷が発生します。

成層圏界面まで成長しきると上昇が止まり、風下に向かって水平に広がっていきます。これは、「アンビル」と呼ばれる、積乱雲の見た目の特徴で、ちょうど横にした筆先、あるいは「某スネ夫の頭」のように見えます。

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これは成層圏まで達していない小さめのCBもどき。スネ夫の頭わかりますか

パイロットは、アンビル、あるいは「スネ夫の髪の毛」が流れていく方向を良く観察し、風上側、つまりスネ夫の髪の毛の先端ではなく後頭部のほうに回り込むように進路を決定します。先端側に行くと、CBの中の上昇・下降気流で育てられた氷の塊、雹(ひょう)が撒かれている場合があって危険なためです。

決してCBの中には入らないようにしますが、近くを通るだけでも被雷することがあり、危険なのでCBはできるだけ大きく迂回します。

有料:飛行機にある「タービュランススイッチ」とは

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