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正常性バイアスを断ち切るのは簡単ではない、が
本日のネタはこちらになります。
正常性バイアスが怖い。
— Pilot's note (@soratobonz) March 1, 2024
たとえば、ATCで聞き間違いをするとしたら、キャプテン(母語が英語)より私(母語が日本語)の方が圧倒的に多いんだが、ごくたまに、私の方がちゃんと聞き取っていることがある。…
FL120と言われたのに、FL130だとキャプテンに言われた。流されそうになったけれど、踏みとどまって確認したら私の方が合っていた。と言う話。当たり前の話に聞こえるかもしれないが、英語圏で飛んでいると、英語がネイティブの人たち(周りのほとんどがそう)の「英語の間違い」を指摘するのは、とても難しい。今回は踏みとどまれたけど、こういう罠はそこいらじゅうに散らばっている。
正常性バイアスを断ち切る
でも、正常性バイアスを断ち切る、と言葉では簡単に言えるけど、具体的にどうやったらそれを断ち切れるのか。これは本当に難しい。なぜならば、正常性バイアスは人が生きていく上で必要なことだから。
普段の生活で、何の疑いもなく家のドアを開けたり、椅子に腰掛けたり、水の入ったコップを持ち上げたりできるのは、ドアを開けて誰かが襲いかかってきたり、椅子に腰掛けた途端に椅子がバラバラになったり、コップがテーブルに接着されていたりすることが、「いつもないから」にほかならない。数ヶ月に一回、ランダムに上記の様なことが起きていたら、それぞれの行動をするたびに注意深く確認してから行動を起こすだろう。
でも、そんなことはないから、いつもと同じ様に、ドアをあけ、椅子に腰掛け、コップを持ち上げる。そういうことが、日常生活のあらゆるところにあって、それは正常性バイアスそのものだ。正常性バイアスがなければ、あらゆる行動に「注意深い確認」が必要になってしまい、朝起きて出勤するまでに何時間かかるかわからないことになってしまう。「いつもこうだから、今回もこうだろう」とバイアスをかけられるからこそ、正常に社会生活が送れるとも言える。
では、正常性バイアスが、こと飛行機のオペレーションにはスレットとして働くとしたら、これをどうやって断ち切ればいいのだろうか。
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