【書評】2Dゲームを面白くする技術
最近ゲームデザインについて勉強する機会があり、こちらの本をオススメされました。
聞けばゲーム会社の新卒社員の推薦図書には必ずと言っていいほど入っているような名著なのだとか。
<章立て>
第1章:プレイヤーキャラの技術
第2章:敵キャラの技術
第3章:レベルデザインの技術
第4章:アタリ判定の技術
第5章:カメラの技術
サービスデザインを考える上で特に参考になったのは1章、3章のところで、いくつか参考になる部分を紹介したいと思います。
① リスク(緊張)とリターン(報酬)の増幅作用
本著で著者が何度も言及しているのが、リスクとリターンの増幅作用です。
この作用が最もシンプルにまとまっているのが「インベーダーゲーム」です。
「スペースインベーダー」の場合、敵を倒すためには、インベーダーの正面に位置して弾を発射しなければなりません。しかし、インベーダーの正面に立つことは同時に、インベーダーの球もヒットしやすくなるリスクを背負うことも意味しています。
敵の弾にヒットするリスクを抱えながらも、それを回避して見事に敵を倒し、リターンを得る。ここに「リスクとリターンの法則」が成り立っています。
この法則はゲームを設計する上では基本中の基本と言われていて、他の様々なゲームに散見されます。
例えば「スーパーマリオブラザーズ」では「Bダッシュジャンプ」がそれに当たります。
「スーパーマリオブラザーズ」におけるリスクとリターン
Bボタンを押すと高速で移動することができますが、同時に、穴にも落ちやすくなります。
この場合は
・Bダッシュでステージを素早く気持ちよく駆け抜けられる(=リターン)
・足場が安定せず、敵にぶつかったり、穴に落ちやすくなる(=リスク)
という構造ですね。
落ちやすくなることはわかってるのに、ついついBダッシュでステージを駆け抜けてしまう。あるあるですね。
ユーザーは、最初のうちは、とにかくゲームを前に進めるために慎重にプレイするものなのですが、ゲームに慣れれば慣れるほど、ローリスク・ローリターンからハイリスク・ハイリターンの方向へと流れがちです。
このようにしてユーザーをうまく誘導してやることがゲーム作りの一つの鉄則なのだそうです。
② ローリスク・ハイリターンの法則
ハイリスク・ハイリターンよりもさらにユーザーを魅了する餌となりうるのが、ローリスク・ハイリターンの状態です。
著者はこの例として「ゼルダの伝説」の「ソードビーム」を例にあげています。
従来接近戦しかできないとこを、自らの危険を冒さずに遠くの敵まで攻撃できるようになり、圧倒的に有利な状態です。
この状態は「ローリスク・ハイリターン」な状態と言え、誰もがハートを満タンの状態にしてダンジョンに臨もうとするでしょう。
ですがここで、ハートを満タンにしていなければいけない、というルールがユーザーを悩ませます。
このルールのために、「地上戦ではなるべくダメージを受けずに、戦い、回復アイテムをなるべくたくさん集めた上で、ダンジョンに入りたい」という意識が働くことでしょう。
これによってゲームの難易度はさらに上がり、他の敵キャラとも戦う理由ができるのです。他の一般的なゲームと違って「経験値」というシステムが無いゼルダでは、この「ボス以外の敵キャラと戦う理由」の作り方が実に独特です。
最後に
このように、「あ、こういうことを考えてゲーム作ってたのね〜」ということがわかる本書は、「マリオ、ゼルダ、メトロイド」と有名どころのゲームシステムを抑えながら、
これからゲームを作るとしる人、ゲームの仕組みをサービスに取り入れたい場合にもは、うってつけの内容です。
そんなに中身も長くないので、サービス設計に関わる方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
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