久しぶりにサッカーボールを蹴った
<本編とは関係のない話>
この前本屋さんに行ったら、メンタルヘルス系の本棚が自己啓発系の本棚と投資系の本棚に挟まれていました。
無慈悲ですね。
こんなにも体を動かしたい、スポーツをしたいと思ったのは、数年ぶりだった。
きっかけは、何てことはない。
異性の友人と通話していた時、恋愛観や人生観の話題になって大きな刺激を食らった。
今まで自分が無意識に信じていたものと世間一般との大きな乖離、疎外感、焦り、嫉妬、憤り。
そんなものが混じり合って、どうにもできなかった。
そういうことって、あるじゃない。自分の力ではどうにもならない系。
一週間くらいそのことばかりが頭の中を占めた。
そのうち、自分の中にとどめることができなくなってきて、全てを破壊したいと思うようになってしまった。
もちろん全てを破壊するわけにはいかず、何かしらの手段で消化する必要がある。
普段なら、これはPodcast配信だとかギターの練習だとか、その他の言葉にするまでもないことで発散するのだけど、今回は違った。
やはり、なにか攻撃的なことをしないと気が済まなかった。もっと、人間の本能により近い部分で解決しなければならなかった。
だったら、運動が一番平和的だ。
大学生になってから、体を動かすことなど大嫌いになっていた自分が、主体的に運動をしたい、走りたいと思う日が来るなんてね~。
衝動のままに、スポーツ量販店でサッカーボールを買い、室内履きとして使っていた真っ白なスニーカーを履いて、公園に向かった。
夜の公園は、怖いくらいに静かだった。というか普通に怖かった。
今の自分は過去一番にフットワークの軽い状態で、そして今からフットボールをするのだ。
今から、この恐怖の公園を破壊するのだ。
ボールを蹴りだす。
砂の大地の細かな凹凸で、ボールが僅かに上下する。砂を割くようなその音が、気持ちよかった。
強く蹴ってみる。
ボールはバックネットにぶつかり、ガシャンと金属製の軋み音をさせて、誇らしげに帰ってきた。
今度は、フリーキックで直接ゴールを狙うように思いきり力を込めて、ただ打点の瞬間には思いきり脱力して、ボールを蹴とばす。
今度は壁の部分に当たり、スパァン!という破裂音が公園に響く。もう怖くなかった。
そのあとは、何かもう本能的なものに突き動かされて走っていた。
ドリブルをすればサンバを踊るように砂ぼこりが舞う。
マジシャンがジャグリングをするように、ボールを高く蹴り上げてトラップしてみる。
そしてまた、シュートを繰り返す。蹴る瞬間の重たく軽やかな音はバスドラム、跳ね返る音はチャイナシンバルだ。
「蹴る」という行為が、サッカーボールとラグビーボールを目的としたとき限定で許されることに感謝した。
呼吸がどんどん苦しくなって、肺と喉が熱くなる。
自分の中に、こんなにも野性味や男性性が眠っていたことに、こんなにも本能的な衝動が残っていたことに驚いた。
恋愛や、それに限らない人間関係全般もそうだ。もっと、本能的に捉えていいんだ。
たったの30分で、スニーカーのつま先は真茶色になっていた。
子供時代の習い事や部活でいろいろスポーツやらせてもらいましたけど、バスケは今も昔も滅茶苦茶に嫌いです。
サッカーに対する今の心象は、自分でもよくわかりません。が、幼稚園~小学校低学年でサッカーを習っていた時は、楽しくボールを蹴っていました。