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食の風景×手紙小品「お花見弁当」


 今年の春が来る前に、こんな手紙を書きました。春が来たら、重箱へ好物がぎゅっと詰まったお花見弁当を作りたいなと思っていたのです。それを桜の下へ持ち寄って、ゆっくりお花見なんてできたら――とは参りませんでしたけれど、お台所へ立てば、いつだってお弁当は作れますっ!
 と云う訳で、お弁当だけは作ってみました。

「お花見弁当御献立」

お赤飯
そら豆と竹の子の炊き込みご飯
ほうれん草と春大根、人参の酢和え
焼き麩よもぎ田楽
だし巻き卵
里芋と蛸の煮っころがし
塩ふりそら豆

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 もち米二合に米一合で炊きました。小豆がころんと入った、もちもちの御赤飯が炊けました。黒ごま塩をふりかけて仕上げます。ごはんの鍋で炊く日を心待ちにしていた、念願の御赤飯です。

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 茹で野菜は水気を切って酢と塩でさっぱり和えました。後でかつお節をはらり被せます。
 自家製の里芋はこれで昨年収穫分がおしまいです。最小限の水で煮た後、火を止めて出汁の素、醤油、酒、みりんで味付け。火を点け、里芋に調味料を纏わせてから、大きめに切った蛸を入れ、更に少しだけ煮て、火を止めます。後は鍋の中で味を馴染ませておきました。
 卵三個分のだし巻き卵。いつも鉄のフライパンで作ります。ヘラと菜箸でころんころん、巻いて巻いて。上手く渦を描いているでしょうか、切ってからのお楽しみです。
 蓬の生麩はカットして串刺しにしてから、加工フライパンで弱火にして焼き色を付けます。味付味噌と白胡麻を飾ります。今日はお花見弁当ですから、半分は桜を散らすことにします。
 そら豆と竹の子の炊き込みご飯は夕べ作った春のごはんです。美味しく炊けたので今日のお弁当に仲間入りすることになりました。
 余ったそら豆に塩を振って箸休めの一品にします。

 それでは重箱へ詰めていきます。三段もありますね・・二段分でもいいかなあ、なんて一寸迷います。

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 はい、完成です。

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 外へ持ち出さないのでゆったり詰めたら三段になりました。今日は予め盛り付けを考えておかなかったので、重箱を見詰めながらああでもないこうでもないとにらめっこしましたが、どうにか形になりました。

 蛸が色鮮やかですね。よもぎ麩に桜が散っているのが見えますでしょうか?冷凍保存している桜でんぶを使いました。だし巻き卵の断面も奇麗に仕上がっていて良かったです。歯応えを残したほうれん草の酢和えはいくらでも食べられます。

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 お赤飯のアップは是非とも御覧頂きたくて撮影しました。もちもちが大好きな筆者なのです。一合分は白米だなんて信じられないくらいもっちりに仕上がって、その上小豆が優しいお色とお味で、待った甲斐があったと云うものです。黒胡麻のアクセントも際立っています。幸せの味がしました。

 又いつの日か、こんな春のお弁当を風呂敷に包んで、大切な人たちと、桜の木の下へ集まって、楽しいお花見をしたいなあと思います。
 その時は是非、あなたも一緒にいかがですか。

 本日は美味しいの詰まった春のお花見弁当をお届けしました。
「ごちそうさまでした」

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                       文と料理と写真・いち



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