◉【おもてなしに学ぶ】(茶道家メモVol.4 遣唐使とお茶)#36
日本でお茶が飲まれるようになったのは、奈良・平安時代の頃です。
遣唐使として唐に派遣された僧侶たちが、ときに眠気除けの薬として、寺院で飲まれていたお茶を日本へと伝えています。
遣唐使のなかに、最澄(伝教大師)、空海(弘法大師)、永忠はとして仏教とともにそれぞれ中国からお茶を持ち帰りました。これが、日本のお茶の始まりと言われています。
この時のお茶は、沸騰した湯に茶葉または茶の粉を入れて煮出す「煎じ茶」でしした。
当時の日本人はお茶を嗜むというよりも薬として捉えていたようで、必要量を煎じて飲んだと言われています。
お茶は大変貴重な存在であったため、上流階級など、ごく限られた人しか口にすることができませんでした。
平安初期に書かれた日本後記には、留学僧が持ち帰ったお茶の種を元に育て煎じたお茶が嵯峨天皇に奉納されたと記録されています。
この「煮出す」お茶の飲み方を「煎茶法(せんちゃほう)」といいます[現在の「煎茶」とは意味が異なります]。
「日本後紀」の弘仁6年(815年)には、嵯峨天皇が近江国(現在の滋賀県)に行幸した際に、僧の永忠(えいちゅう)から茶を献上されたことが記されており、これは喫茶の記録としては日本最古のものとされています。
さらに嵯峨天皇は、畿内や近江・丹波・播磨などに茶を植えさせ、毎年献上するよう命じたとも記されています。
平安時代の茶は、宮廷で行われる法会で僧侶たちにふるまわれたり、お寺の儀礼でお供えなどに用いられたりしていたことが残されています。
お茶の世界観を紐解く茶道には自らを整えることにとどまることなく、同じ空間に同じ時を過ごす相手に対する配慮や相手に喜んでもらえるよう、茶人にとっても相手にとっても、一期一会の人格形成の旅路にある人間関係学だと思います。
おもてなしは心身ともに幸せになる為の人間関係学だと感じています。
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