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吸血鬼ドラキュラ

吸血鬼ドラキュラ
ブラム・ストーカー 1897

この作品は、日記・手記・電報・新聞記事などで構成されたいわゆるドキュメンタリー形式で書かれている作品です。その緊迫感は、作品発表後に多数作られた映画作品の比ではない。

ルーマニアのトランシルヴァニア地方にあるドラキュラ城。イギリス人弁理士ハーカーはそこに向かいながら、得体の知れない胸騒ぎに悩まされていた。彼の行き先を聞いた農夫や馬車の馭者が、一様に何かを恐れているような奇妙な態度を取り、脅かしたりする。真夜中になると悪魔がこの世に出てくると。城に到着すると、ドラキュラ伯爵その人に愛想よく迎えられた。ハーカーはドラキュラ伯爵のイギリス移住に伴う諸手続きの為に来たのであり、仕事の性質上、数日はドラキュラ城に滞在しなければならないことになっていた。ほどなく、ハーカーはこの城の住人の暮らしぶりが奇妙なことに気付く。そして次々と恐ろしい出来事がハーカーを襲う。
ところ変わって、イギリス。ハーカーの婚約者マリーは友人ルーシーのもとを訪れた。貴族アーサーと結婚したばかりのルーシーと一緒に、ハーカーが戻らないことを心配していると、ニュースが飛び込んでくる。一隻の奇妙な船が入港したと。船から降り立った生き物は大きな犬ただ一匹で、船長は操舵輪に手を結び付けた状態で亡くなっていた。航海日誌によれば、乗組員も1人また1人と消え失せたらしい。その犬もまた姿を消して消息は知れなかった。奇妙なニュースを聞いた夜からしばらく経った夜、ルーシーに夢遊病の発作が出始める。
ハンガリーのブタペストからルーシーに便りが届いた。行方不明のハーカーが見つかったと。ハーカーは正体不明の病気で衰弱し、六週間に渡って看護を受けていたという。ルーシーは現地に駆けつけ、元気を取り戻しつつあるハーカーと喜び合った。そして、その地で結婚式を挙げた。
そして一方、話はイギリスへ。貴族アーサーは妻ルーシーの容態がはっきりせず、回復の兆候も見受けられない事を不安に思い、ルーシーに求婚した事もある精神学者のセワードに相談を持ち掛ける。ルーシーを診断したセワードは病状に不審を抱き、旧師であるアムステルダムの医学博士「ヴァン・ヘルシング教授」に所見を求める。ルーシーは貧血症ではないのになぜか大量の血液が失われている。そして、ヴァン・ヘルシングはルーシーの喉に2つの小さな傷を見つけるのだった。

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