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ぼくの帽子

📙『ぼくの帽子』
西条八十 1892〜1970
『西條八十詩集』より
(雑誌『コドモノクニ』大正11年・掲載)

👒
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
・・・
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏にぼくが書いた
Y.Sという頭文字を
・・・

🖊️
森村誠一の小説「人間の証明」の中で、この詩が引用されました。1977年の映画化の際、引用されたセリフはキャッチコピーとして使われ、有名になりました。
森村誠一が大学生であった当時、霧積温泉「金湯館」に宿泊してハイキングに出かけました。山の頂で宿のお弁当に包み紙に、この「ぼくの帽子」の詩が刷られていました。これが心に残り、のちに「人間の証明」に引用されるきっかけになります。

👒
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

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