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絵本百物語

📚『絵本百物語』
〈奇談集〉
1841年(天保12)
著者は桃山人(ただし序の署名には桃花山人と記されている)。
「国書総目録」(岩波書店)によれば、江戸時代後期の戯作者・桃花園三千麿のこととされる。

🔖《手負蛇》竹原春泉画
東武のある村で稲荷の宮を建てるために地面を掘っていたところ、地中から蛇が現れたので、子供たちがこの蛇を細切れにして串刺しにして遊び始めた。そこへ村長が通りかかり、その様子を見て非常に恐れた。その夜、寝床の村長がふと気づくと枕元で蛇が息づいていた。驚いて人を呼んで蛇を追い払わせようとしたものの、他の者には蛇の姿は見えなかった。それ以降、村長は長らく病気に侵されることとなった。一方であの子供たちには、祟りなどまったくなかった。これは村長が感じた恐怖に応じて怨念が来たもので、求めさえしなければこうした怨念が来ることはないのだという。
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蛇は陰気を好む生物であるために執念深い性格で、傷をつけた相手には必ず仇をなすとされる。草むらに追い込む相手に対しては目に毒気を吹きかけて病気にさせ、頭を切り落とされようものなら、その者の釜に飛び込んで食中毒に遭わせるという。
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「裕福=幸福」と考えていて、実際、愉快に人生を送っている人は、些か悪いことをしていても、後ろめたく考えずに、堂々としているのかもしれないね。恐怖が祟りを呼び込むのだから。裏を返せば…恐怖を感じ始めた時から幸福が逃げていく。

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