4、なにもない虚空で、明日
【99匹のうちの1匹】
なにも無いということ
確かな“有る”が消え去って、カラが見える。
そこに、何かがあったとしても、その証明はできない。なにも、なかったのだ。時間だけが素直。
めをとじて、
ひらいて、
日光を浴びる。
わたしが何者なのかを忘れ、ただ、わたしは有るのだと、知らないだれかに証明がしたい。生まれ落ちたソコに、まだ絶望などしたくはなかった。よかったって、思いたいだけなのだ。この世の中が、良くも悪くもないって、そんなことでできてないって、産声を上げた悲鳴だってわかってる。
人間だけが、それを信じたくないだけなんだ。
春が来ます。
冬はいつか過ぎ去ります。
そしてまた、不安定を拭い去って、冬が来る。
スピードを上げて過ぎてゆく時間が、わたしの横を通って入水をする頃、人間は生きているのでしょうか。もはや、生きていると、言えるのでしょうか。
我が家の冷蔵庫でイルカが泳ぐ。
わかりやすい言葉だけで出来ているなら、どんなに良かったことでしょう。今日が終わる。今日が始まる。カラになった人生の中で、少しでも有ったことの証明がしたい。
「はじめまして」と「さよなら」の世界。
少しでも無意味な意味を探して。