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10、ヒッピーでいたい

 99匹のうちの1匹

抱かれた腕の中で、考える思考ほど、下等なものはなかったように思う。僕らが社会に反する度、社会は僕らに適応していく。その、繰り返しをして、時代は巡っている。
だから一生、僕は追いかけてくる朝日から逃れることなんてできないのだ。

逃げ回っていたら、世界一周の旅行が出来るね。
君は短絡的な思考しか持ち合わせていない。

「両腕を失ったピアニストみたいだ」

って長髪のアイツは言った。
僕はずっとずっと欲張りだから、エレクトーンで連弾しよって、きっと僕の方が傷つかない。
それでも“愛して”が言えないまま20年が経って、君は大人になった。結婚をした。僕だけが好きなまま。君には君の愛があって、僕には僕の愛があって、キレイな凹凸じゃないから、僕らは一生噛み合わない。それでも僕は良いよって。君に声をかけていたつもりだった。
拍手だと思っていた喧騒。
愛を愛だと認識しなくても、この手のひらの温もりが僕らの愛。 大丈夫だよ って抱きしめ合うだけ。

嫌われても、疎まれても、僕だけは知らない君のことを好きでいたいよ。せめて、だなんて大袈裟に言って。

明日 25時、夢の中で会いましょう。