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21.飽和水溶液の気泡の中で

 99匹のうちの1匹


縋っている。

そこかしこに浮遊している空気に、足場を求めている。
私は青い光の照らす先にいて、他人のそれを側から眺めながら、また違う他人に側から眺められている。

絡まった蛸足みたいに水に溺れて、
ニルヴァーナの赤ちゃんみたいに優雅だった。


覚えたての明日に祈りながら、
美化された過去を疎む。
バスタブに残る血液がまだ固まって、ドロりと沈み浮かんでいる。
排水溝に吸い込まれる。

私はこれが素晴らしきかなと謳うことはできなかったけれど、少しでも、知らないどこかで私と無関係に誰かが救われればいいと思った。

本心だ。


飽和したまま放置された心は
いつしか溶解度まで戻るのだろうか。
黙って
沈み込んでいれば
いつかは私は私を救えるのだろうか
と、眠りの中で朧げに思う。

未来を信じれぬまま、明日をのぞむ。
バカみたいに笑っていれば、それでいいと、そう言ってくれないか。