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27. 抉るほどの傷はない

 99匹のうちの1匹

抉った傷の、鮮血な血飛沫を知っているから、
僕は自分のカラダを見て
一抹の安心と、奈落の不安を覚える。
手を掴まれて振り解けないから
ずっと
このまま、この世界から離れられない。

見つからない傷口を
ぐちぐちといじっているだけ

実際、
僕は少しもその痛みを感じられないまま
大人になって
明日生きる責任を取っている。
屍の横で