28. 酸素より重いところで
99匹のうちの1匹
「いつだって君のことを考えてるよ」
その言葉だけじゃ、まるで私たち、愛し合ってるみたいだね。勝手に苦しむ君の的外れな努力は、きっといつか誰かを救う。
君が救いたいはずの僕は、君に救われない。
井戸の中でうずくまっているのを、井戸の淵から見下ろしている。
「大丈夫、君は僕が好きだよ。」って、何も大丈夫なことなんてなかった。私たちの一方通行の恋しさは、お互いに首を絞め合っている。君の喉仏に、私の切りたての爪が突き刺さっている。
このままで良いはずはない、けれど、絞めた手のひらが熱を持って食い込んでいく。頭の中で、獰猛な犬が暴れ回っている。
君はまだ、僕をゲージの中で飼えると勘違いをしているのだ。僕は、もうとっくに、野生でしか生きていけないのに。
君は僕と一緒に、野生で生きていけないし、僕は君と野生で生きていけないよ。君の瞼の裏側が、真っ暗闇の間は。
伸縮性の夜が襲ったら、僕と朝日を追いかけて
その気がないなら
僕の愛を、受け入れて。