2.キモい現実の忌避方法
【99匹のうちの1匹】
現実が酷くキモい時、私たちはどうしたらいいのだろう。
と、思っていたら逃げていたはずの朝日を出迎えてしまった。もう何年も、そうやって、私は朝日から逃げられない。楽しいと思っていた現実の話。私、気がついたらヒトという生物が、何処か遠くの異星人のようだと思った。自分とは、まったく違う、生き物である。
それぞれが違う生き物。
それぞれが違う生き物なのだから、絶対に、分かり合えるはずはない。私たちは、“私たち”という大雑把な枠組みで括ることでしか、仲間意識を持つことはできないのかもしれない、と、酒に酔った隣人が言った。冗談だ。
そういうヒトなのだと割り切って理解することだけが必要事項。
だから、少しでも居心地を良くするために。好きを作る。好きに囲まれる。好きを好きと言ってくれる異星人となら、少しは、話せる気がしてこないだろうか。まだ捨てたもんじゃないと、朝日を浴びながら殴り合える。かなぐり捨てるくらいの命なんてないのかもしれないけど、ちょっとでもそれを握りながらヒヤヒヤするフリをした。
きみに安心なんかさせたくない。
一生不安に押し潰されそうになりながら、その人生を生きてくれよと、身勝手に、押し付けながら眺めている。
真っ暗な灯台の上で。
その下から海水が、じわじわと満ちてゆくのを一緒に見守ろうじゃないか。