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6、爛れた脳味噌を掻き混ぜる

 【99匹のうちの1匹 】

時が経てば経つほど、自分が、汚れていく気がする。制限の緩和。僕らが毎日 目にしているものは、実際ほとんどを僕は知らない。君も、ほとんど知らない。あいつも、あの子も、知らない誰かも。自分の知らないを集めたら一人の人間が出来上がった。僕の成り損ない。そんなもの。
でも、僕にはソレに成れなかった。
その集団は僕に襲いかかって(襲いかかってなんていない。ただ、僕には襲いかかってきているようにしか、捉えることができなかった)僕を引きちぎる。よし。引きちぎる。

僕の両隣の席の「生」と「死」は、不可能を抱えたまま虚構に走った。僕は、よくわからなかったけど、きっと、時代の流れなんだなと思った。
きっとこれが今の時代。
死ぬことで方がつく時代ではないことを、学校の屋上で知った。過去にして仕舞えばすべて笑い話にできるということを、卒業アルバムをめくって知った。今がどうしようもなく惨めであると、ヒトに会って知った。

詰めたはずの脳味噌がまだすっからかんなのは、僕が脳味噌を混ぜすぎたせいなのだろうか。

廻る

廻る

他人の「生」を垣間見て、
他人の「死」を覗き込む。

僕はただ、 大丈夫 を掻き集めた。

十代までに、死んでおきます。