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ひとりでは、自然体にまだなれない。

自然体な生き方を考えるメディア『ソラミド』の編集部がお送りするnote。編集部員が考えたこと、感じていることを自由に書き記します。今回は編集長の安久都が担当。肩の力を抜いて、ゆるりとお読みください。

僕は人見知りです。大人数の集まりは苦手だし、他愛もない雑談と言われても、何を話したらいいか分からないし。口下手なので、場を盛り上げることもできない。思い返すと、たくさんの人がいる場を楽しめたことなんて、数えるくらいしかないなぁ……。

じゃあ、ひとりでいることが好きなのか。そう言われると、首を横に振る自分がいます。人見知りなんですけど、寂しがりなんですよね。ふたりっきりで話したり、少人数で話したり。そんな時間は、とっても楽しい。

きっと、より深くその人と向き合えるからだと思います。じっくり聞いて、ゆったり話して。目の前の人のことを分かったような気がするし、分からなくなった気もする。そんな時間が心地好いんです。

人見知りの寂しがり。そんな僕が、最近考えたことを書いていこうと思います。

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先日、妻が二泊三日の出張で家を空けていました。初日は朝早くの出発、三日目は夜の帰宅。約三日間の、ひとりで過ごす時間です。やり残した作業もあったし、読みたい本もあった。どうやって過ごそうかなぁと思っていたのですが…

結局その三日間は、体調を崩して終わってしまいました。風邪を引いたとかではなく、精神的な体調不良。ベッドで横になり、呻いていたら三日が過ぎていた始末でした。

妻が家を不在にしただけで、ここまで体調を崩すとは情けないなぁと思ったのですが。逆に大切な人と一緒に過ごすことって、とてつもないパワーをもたらしてくれるんだな、とも実感しました。

…パワーという表現は少し違うかもしれませんね。活力がみなぎる、という感じではなく、なんだか息を深く吸える感じ。身体と心が軽くなる。妻といたら、そんな状態になるんです。

考えてみたら、妻だけじゃありません。ソラミド編集部の仲間たちとMTGしたり、ラジオを録ったり、雑談したり。そんな時間があると、心がフヨっと動き出す。

そんな状態は、なんだか自然体に近い気がするんですよね。ひとりっきりのときは、まったくもって自然体じゃあない。加えて、大人数と一緒にいるときも自然体じゃない。

なんだか難儀な性格をしていますが、大切な人と共に過ごす時間が、僕にとっては必要なのだと思います。

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それはきっと、僕が僕自身と仲良くないから、なのかもしれません。ひとりでいると、自分と対話する時間が多くなりますよね。脳内に響く声に、耳を澄ませる時間。

「なんで、そんなこともできひんの?」
「え、ちゃんとやらなアカンやん?」
「甘えてる場合ちゃうやろ」

(あ、関西人なんです。僕。)

「あくつさんって、柔らかい言葉を使いますよね」と言っていただくことも多いのですが、僕が僕にかける言葉は辛辣です。書いていて、驚くくらいには。そりゃあ、ひとりっきりのときに体調を崩すわけです。自分で自分をナイフでズタズタにしているようなものですから。

これは、居心地の悪い場所にいるときも同じ。誰かといるけど、孤独。なので、結局は自分と対話することが多くなる。そして出てくるのは、鋭利なナイフ。またまた、僕の心は出血多量。

でも、大切な人といるときは違うんです。優しい言葉をかけてもらえるから、というわけではなく、そもそもナイフが鞘から出てこなくなる。

思考の矢印が、自分以外にも向いている。だからこそ、仲良くない自分とも、程よい距離感を保てるのかもしれません。

そんな時間が折り重なって、自然体に近づいている感覚があります。

もちろん、自分自身と仲良くなることも大切です。でも、すぐに握手することは難しい。だったら、矢印を外に向ける時間を作ってもいいんじゃないか。

内側に潜るだけではなく、外側を眺めてみる。

哲学者の苫野一徳さんが、書籍で下記のように書かれているのを思い出しました。

“実存”を“実存”にまみれて考えている限り、僕たちは結局のところ、泥沼から抜け出せなくなってしまうことがある。実存にまみれた人は、自分の内側へと引きこもってしまいやすいものだ。

苫野一徳『子供の頃から哲学者』

きっと、「僕が自然体で生きるにはどうしたらいいんだ…」とひとりで悩んでいたら、泥沼にハマってしまうんだと思います。それは、悩みがちな人ほど。

でも、ちょっと視点を外側に向けてみる。大切な誰かと過ごして、その人のことを考えてみる。そこでの気付きを、内側に持ち帰ってみる。その繰り返しで、少しずつナイフの切れ味が落ちていくのかも。

大切な人と共に過ごす時間が欠かせないんだろうな。

人見知りな僕が、寂しがりでもある理由が分かった気がしました。


……とかなんとか言いつつ、妻や編集部メンバーが大好きなだけだったりして。

(執筆:安久都智史

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