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有名とんかつ店でのアルバイト②


私がとんかつ屋でバイトを始めた時期
たまたま同い年が二人
すでにバイトをしていた。


1人目はけいちゃん
けいちゃんとは初めてのバイトの日に一緒になった。かなりサバサバ系で落ち着いているので完全に年上だと思っていた。

アルバイトとは思えないレベルで仕事ができるので下川さんも「とりあえず全部けいちゃんに聞いてなー!」と全てを任されている様子


けいちゃんが裏のシンクで洗い物をしていたので、「かわります。」というと
「あ、やってくれる?いいけど、腕時計外さな、濡れるで?」
と言われた
(今からバイトを始めるのに腕時計をつけたままの私)
第一印象は
「めっちゃこわい。」だった。


2人目はめぐちゃん
めぐちゃんとは、なんと中学校の同級生。
中2の時には同じクラスにもなったことがある。しかしめぐちゃんはクラスの階層的にはギャル系の目立っているグループ
私はギャル系には所属していないが、インドア系でもない中途半端な中間層
仲の良いグループが違ったため
そこまで話したことはなかった。
しかしめぐちゃんは基本どんな人とも話ができるコミュ力高い系。

初めてとんかつ屋で顔を合わせた時は
お互いに驚いたが、すぐにうち溶け
むしろ中学生の頃よりも仲良くなった。

けいちゃんとめぐちゃんは
私より早くバイトを始めていたので
すでに友だち。
そこに私も加わり
3人娘状態になった。

今でも3人で集まり
とんかつを食べに行く仲だ。





【アルバイトでの失敗】


①わっぱめし未完成出荷事件

その日は3人娘のうち
私とめぐちゃんがシフトに入っている日だった

店内の食事に私がまわり、
めぐちゃんはテイクアウトのお弁当
たいてい、テイクアウトの受け取り時間になるとめぐちゃんは素早いのですぐ気づいて
さっと行動できる

この日も私が
テイクアウト梱包作業をするため、
レジ付近に向かおうとすると
「こっちはやるから、そっちお願い!」と目配せしてくれた。


かつては
わっぱめしというメニューがあり、
ご飯の上にキャベツ、その上に生姜焼きが乗る最高に美味しいお弁当があった。
案の定大人気。

その時間帯、
わっぱめし2箱注文が入っていて
蓋をしてから、蓋をとめる金色のゴムをつけて、お店の名刺とマスタード、割り箸を挟むのだ。最後は袋に入れて完成。

めぐちゃんはいつものように
さっと梱包作業を終わらせた。

ほどなくしてお客さんが来店。
お会計も済んで、はい、次の仕事!


みたいになっていた時、、、

マスターが
「弁当箱どこや??」と聞いた。

一瞬ざわめく店内

なんと、わっぱめしの上にのっける予定だった生姜焼きが、たった今出来上がったのだ。。。

つまり、わっぱめしがまだ出来上がっていない状況(ごはんとキャベツのみ)でお客さんに渡してしまったのだ。

フライパンの中に湯気をたちのぼらせながら残っている行き場のないお肉たち。。


フライパン片手に無表情で固まる
強面なマスター

これは大変だ。

今頃お客さんは家に帰って
さぁーわっぱめし買ってきたぞー食べるぞーと弁当箱を開けてびっくり!
ごはんとキャベツだけ!
みたいな状況になっているのだ。笑

笑い事ではないけど笑える状況だ。


下川さんが
「マスター!ぼく行ってきます!
めぐちゃん!テイクアウトの伝票見せて!」

めぐちゃんが下川さんに伝票を見せる
お客さんの名前と電話番号を控えている。


メモしていた電話番号に
下川さんが電話をかけて謝罪

その後、住所を聞いて
作り直したわっぱめし
プラスおわびの品を原付でデリバリーするという流れになった。

無事に一件落着。




②オムトンの卵 証拠隠滅事件

その頃オムトンというメニューがあった
とんかつの上にオムレツを乗せて、特製のソースがかかる
メニュー表にも書いているが
初めて来た人はたいてい定番から頼むので、
常連さんや、数回めのお客さんが
「え、こんなメニューもあるん?めっちゃ美味しいやん!」
となってファンが増えていく。
裏メニュー的な存在だ。


基本的にとんかつのお肉にかかわる作業はマスターか下川さん。
私たちアルバイトはプロの仕事はできないため、それ以外の作業をする。

オムとんの工程で
卵を割って溶いておくところは
バイトの仕事だった。

その日もオムとんの注文が入って
「オムとん用のとんかつを揚げ始めたな」
くらいのタイミングを見計らって
卵を3つ容器に割ろうとした。

その日も店内は大盛況で
次から次へと仕事がある。

焦っていた私は
卵を割る時にうまくヒビを入れることができず、容器の中に少し殻を入れてしまった。

やばい、どうしよう。。」
はやく卵を割って渡さないと流れが悪くなる。

しかしこのまま少しだけれど殻のある卵をお客さんに提供するわけにはいかない。
お店の看板に傷がつく
(オムとんの卵に殻が入っていた、ありえない。と食べログの口コミにも書かれてしまう。)
しかし割った卵をシンクに流せば
後でマスターや下川さんに見られたら時に
「この卵は何や!?」
と言われてしまうのでは。。
卵ももちろん高級なものを使用している。

しかしここは細長い店内
何をしていても行動はバレてしまう。
逃げ道はない。
早く溶き終わった卵をマスターに渡さねば。



よし、この失敗した卵は
悪いけど証拠隠滅させていただこう。。。



逃げ道がなかった私は
店の裏にある勝手口へ向かった。

扉を開けると、そこには冷蔵庫やら、発注した食材の段ボール箱などが並んでいる場所がある。
その隣に、一つ、植木があったのだ。
以前バイトの帰りに
めぐちゃんとこんなところに植木あるよなぁと話していたところだった。


「ごめんなさい!これ、栄養にしてください。」

私はその植木のところへ
そぉーっと卵3つwithとりきれない卵の殻を流した。



その後、店に戻り
また卵を3つ割り、マスターに渡したのであった。
こと無きを得て、また仕事の続き。


その日は暗くて植木は確認できなかったが、数日後見てみると卵の跡はわからなかったので、無事に栄養にしてもらえた、と信じている。




③テイクアウトのお客さんをカンカンに怒らせてしまった代金いくら事件


その日テイクアウトの電話を受けた
けっこう品数多めの注文だった。
〇〇とんかつ弁当 〇個
●●とんかつ弁当 〇個
コロッケ 〇個

お客さんの注文をメモに取り、復唱する。
希望時間、名前、連絡先を聞き終わり、
お待ちしております。と電話を切ろうとしたその時

「あ!全部でいくらになるか教えてもらえる?」と言われた。

そんな質問をされたのは初めてだったのだ。

だいたいで払ってほしい。。。
おつりを渡すので。。。
しかも今めちゃくちゃ忙しいのに。。

まぁそんなこちらの事情は関係ないので、、
慌てて電卓を持ち出して
計算した。

しかし私は数字がとても苦手なのだ。。。
電卓を使っているけれど、、
焦っているし、
どこかで何か打ち間違えたようで
「合計で〇〇円です。」
間違えた金額を伝えてしまった。



そうとは知らず
約束の時間にお客さんが来店
メガネをかけたおじさんだった。

レジを打って
「△△円です。」
金額を伝えると、

「え!?
電話で聞いた時は〇〇円って聞いてたけど!?」



は!
(あの電話のおじさんか!ミスって計算間違ってたか、、どうしよう)


伝えた金額の方が少ないという辛いパターン!!


今思えば、
これはもう、こちらの伝えミスなので
レジを打ち替えて、
差額を自腹にするなりして
お客さんに伝えた〇〇円の金額でお代をいただいておけば良かったのだ。

しかしもうすでにレジに金額を入力してしまい、咄嗟に訂正する技術もなく
うまく伝えるコミュ力もなく。
私は黙ってしまった。。。


お金が足りません!みたいな状況。

お客さんのおじさんの顔はみるみる赤くなり
「なんでやねん!!
足りない分とってくるわ!!」

なんと、、お金を取りに
怒って店を出て行ってしまったではないか。。


やばい、どうしよう。
焦ってどうしたらいいかわからない私に
下川さんやマスターが事情を聞きに来てくれた。

電話注文の時にお代を聞かれて
間違えた金額を伝えてしまったことを話した。

するとマスターが急いで店を飛び出し、
お客さんを追いかけた。

間違えた金額を伝えてしまったことを謝罪し、伝えた通りのお代で大丈夫ですということでなんとかお客さんの怒りも収めてもらった。


それにしても、、、
「金額を聞いてその金額ぴったりしか持ってきていないおじちゃんもどうなん!?」
とも思ったのだが。

悪いのはこちらなので
そんなことは言えない。


何より
完全にバイトの私のせいでお客さんを怒らせてしまい、店の流れも止めてしまったというのに、その後何事もなかったかのように、怒ることなく接してくれた下川さんとマスターには本当に感謝の気持ちしかない。



①②③といろいろハプニングがあったが
今となっては
どれも良い思い出だ。