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有名とんかつ店でのアルバイト①



思い出を語っていたら
3972文字になって驚いた。

学生時代
とんかつ屋さんでアルバイトをしていた。
体育会系の部活に入りながら
とんかつ屋さんとあと2つのアルバイトを
掛け持ちしていた。

かなりハードスケジュール。
どれだけ自分を追い込んでいたのかと
今になって思う。


関西のとんかつといえば、、な
かなり有名なお店

私がアルバイトをしていたのは10数年前くらい?(年齢がバレる?)
今ほどではないが
当時から店はすごく流行っていたので
仕事はとにかく忙しい!!




早朝から店の前には
ウェイティングボードに名前を記入するために長蛇の列。



このアルバイト生活で
この先の人生に必要なスキルを身につけることができた、と思っている。


●忍耐力
●洞察力
●コミュニケーション力
●物事の優先順位付け
など。


その当時は必死だったが
アルバイト生活はかなり充実していた。


ネタがたくさんあるので
記録に残しておきたいと思い
この記事を書いている。
いくつの記事になるかわからない。


ただの日記。かもしれない。





【バイトを始めたきっかけ】

大学時代、将来就職したい職種も見えてきて、それとは違う分野のアルバイトをしてみたいなぁと考えていた。

母に「飲食店の接客業はいろんな人と関わるし、勉強になるから、いいと思う。
やってみたら?」と勧められた。


新聞に挟まっているような
地元の求人広告に
そのとんかつ屋さんが載っていた。
「ん?この店タウンワークにも載ってたような?かなり人手不足なのか!?」

(バイトを初めて、なぜ急募の勢いで載っていたのかすぐにわかった。忙しい→わりと厳しい→人がすぐに辞める→人手が足りてない)

●マスター
●マスターの元で修行をしている下川さん(仮)
●社員のれみさん(仮)←仕込みや午前中の勤務が多かったので、一緒になることはあまりなかった。
あとはアルバイト数名。




有名店だからか、やることも多いし
スピーディーにこなしていかなければならない。



●挨拶
●ウェイテングボードの管理
●電話対応
●注文聞き取り
●伝票書き
●マスター下川さんとのやりとり
●料理を出す、下げる
●お茶がなくなりそうなタイミングで声かけ
●サラダとご飯が無くなりそうなタイミングで声かけ
●テイクアウトの対応
●その他もろもろ


【次々辞めていくアルバイト】

けっこうハードなため、
なんとなくの気持ちで入ってきたアルバイトはすぐに辞めていく。
私は半年で見事副バイト長のような立場にのぼりつめた。私が頑張っていたのではなく、
周りがみんな辞めたから。
(重鎮である不動のバイト長についてはまた別記事で書きたい)



何人も急に来なくなった人がいた。
まだ電話で連絡してから休むのはいいが、
一番ひどかったのは
母親に電話をしてもらっていた子。
18歳くらいだったと思う。
(令和の時代やったら大人扱いされる年齢やで!電話、自分で頑張れー!)

内容は、「体調が悪く、入院することになりました。しばらく動けないため辞めさせてください。」

「ほんまかいな!」である。


休む前、マスターや下川さんに注意された時にかなり気怠そうな表情だったので、
あ、これはもしや、、もう辞めたいと思っているな??となんとなく予想がついていたけれど、、本当に辞めた。
それにしても他の理由はなかったのか。



あと、アルバイトの中には男性が1.2人いて、厨房の裏で食洗機の管理をしたり、ご飯の管理をしたりしていた。
ここがわりとハードで
コロコロ人員が変わっていた。


ある時期
1人の男性がアルバイトで入ってきた。
当時40半ば〜50手前くらいだったと思う。
そのおじさんは
若造の私から見てもわかるくらい
仕事をなめている雰囲気があった。


それが言動に出ていたので
度々、厨房の裏で(といっても店が長細く狭いため、入り口付近のお客さんからは見えてしまう)マスターとバトっていた。

例えば、ご飯を炊くタイミングが遅く、お客さんを待たせてしまいそうになった時
マスターが注意すると
納得いかない表情をしたり、時には小声で言い返したりということがあった。



大学生のアルバイトには分からないけれど、
大人たちの中で何か不穏な雰囲気が漂い始めた。何度かそういうことが重なった時に
堪忍袋の緒が切れたマスターが
「てめぇー!!」みたいになって
胸ぐらをつかみ
あわや大惨事になるところだった。
大人同士の喧嘩現場を真近で見て
本当に恐怖だった記憶がある。
下川さんがなんとか制止して収まったが、、マスターがキレるのも無理はないなぁと感じた。

座席端っこのお客さんには見えてしまうため
本当にハラハラした。

その頃食べログが流行り
店の口コミがたくさん投稿されていた。

嬉しくなるコメントもあれば、
悪意のあるコメントもあった。
あることないこと書き込まれている時もあった。

●マスターの
愛想が悪い
●食べている前で豚肉とんとんとんとん叩く音がうるさい
など

(そう見えるのはしょうがない、でもマスターはふとした瞬間笑みをこぼすのだ。)
(仕込みだし店がせまいからそこで叩かないと仕方がないのだけど。。)

などつっこみたくなる口コミもたくさんあった。



【マスターの人間性】

そんなつもりはないけれど
マスターは強面ゆえに
私はマスターに嫌われているのではないか?という不安とともに最初の数ヶ月を過ごした。

しかし杞憂に終わり(たぶん)
関われば関わるほど
マスターの魅力を感じるのだった。

●マスターは仕事が終わるといつも
カウンター席に座り、発注の確認や売上の計算をしていた。
メモにいろいろな数字を書き込み、
電卓でパチパチと叩いていた。
自営業、自分で店を立ち上げ、切り盛りする人は何から何まで自分でやっていてすごいなぁと、知識がないながらも勉強になった。


基本は無表情だが
仕事終わりには
「◯◯さーん!」と呼んでくれて
「部活では◯◯してるんかー?」とか
「まかないおいしいかー??」など
ちょくちょく話しかけてくれるのが
とても嬉しかった。


●バイトを始めて
まだ1ヶ月くらいしか経っていない頃
食器を洗っていた時に
手が滑り、
醤油差しを割ってしまった。。。


調味料入れや器は
一つ一つマスターがこだわって選んでいるものでとても高額であるという噂は
なんとなく聞いていたので、
震えた。


しかし、やってしまったことは謝らなければならない。

恐る恐る、仕事を終えてカウンター席に座っているマスターの元へ

「マスター、ごめんなさい。醤油差しを割ってしまいました。。」



マスターはこちらをちらりとも見なかった。



やばい、私は今から殴られるかも。

でも違った。


マスターは手元にある発注数の計算用紙に目線をやりながら一言。


「形あるものはいつか壊れる。」
そうつぶやいた。



(か、、、かっこいい。。)


柴咲コウの歌にそんな歌詞あったような、なかったような。(タイトルだけか。)


一つ5000円する醤油差しを割った私を
一切咎めることなかったマスター




●仕事中、お客さんとして
マスターの知り合いの大金持ちっぽいおじさんたちが食事にくる。
ちょくちょく差し入れをいただくのだが
太っ腹なマスターは、ちょこっと一口食べて「あとはみんなで分けときなー。」と恵んでくれた。


お金なし大学生にとって
百貨店で買ったような高級チョコレートや、見たこともないお菓子はすごく嬉しい。

マスターはいつも
「この店で頑張ることができたら、他で就職してもやっていけるぞ!」と励ましてくれたものだ。




【まかない】

いつも店が忙しすぎて
ピリピリしている時も多かった。

店が本当に狭いので
通路を大人2人すれ違う際は
どう頑張っても服がすれる。
できるだけ擦れないように
冷蔵庫にくっつきそうなくらいへばりつき、お腹をすぼめたことも何度もある。

ある日マスターの冷蔵庫近くにある棚に入っているソースの継ぎ足しをしていた。
若干タイミングをミスった感はあったが、早くしようと自分なりには急いでいた。

邪魔だったのかマスターに
「なにしとんねん!」
と言われて
内心
「くっそー!!」と思ったが
「すみません!ソースいれてます!すぐやります!」と返答した。


下川さんは、
赤だしの温度に大変厳しい。
お客さんが食べ終わりそうなタイミングで
赤だしの入った鍋を温め始めるのだが、
煮詰まると味が落ちるので
沸騰させてはいけない。

何度も
「こころちゃん!赤だし!」
「こころちゃん!赤だし見てるんか!?」
と大声で聞いてくる。
1回の温めにつき、2回は確認される。

(恥ずかしいなぁ!
お客さんにも気を遣わせるじゃないか。
そんなに気になるならもう自分でやってほしい。)心の声

あまりにも何度も聞かれるので
「もうすぐ火、止めます!」の返事に
「💢」いかりマークが入ってしまうのだ。
それがそのまま声色に入ってしまわないように、気をつけるのが地味にストレス!


大繁盛は嬉しいけれど
忙しすぎる。
店内にはマスターのお気に入りの曲が流れているのだが、祝日のバタバタしている1分1秒を争う日に限って
「情熱大陸」が流れている。

情熱大陸のテンポに焦りながら
テイクアウトのお弁当を高速で包む。
何この修行!状態。



高級とんかつを毎回
まかないに出してもらえて
本当に幸せだった。


休日でお客さんが大量、
かなり忙しかった日

太っ腹なマスターが
「フォアグラとんかつ」をまかないに出してくれた時は、美味しすぎて涙が出そうなくらい感動した。

普段のまかないでも
ロースとんかつ定食やロース肉を卵とじしたものなどを出してもらえて
部活でくたくた&バイトで疲弊の体には染み渡った。

母に「毎日とんかつ食べて
太るんちゃう!?」
と心配されたが
部活で運動していたので
不思議と太りはしなかった。



忙しいバイト内容に
「くっそー!!絶対来月で辞めてやる!!」と、しょっちゅう心の中で叫んでいたが

毎回まかないを食べるたびに、
「よし、とりあえず次のバイトも頑張るかー!」と思ったものだ。
単純な私。

バイト中のハプニングはいろいろあるので
そのこともまた書いていきたい。