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【短編小説】努力もしてねえのに羨ましがるなよ
「じゃああなたもやってみなよ」
佐々木さんから笑顔で言われて、自分の足元からスーッと感覚がなくなっていくのが分かった。座敷に座っていて良かったと思う。
こんな飲み会来るんじゃなかったと思っても、後の祭りだった。
足元に迫る崖の目の前で背中を押されるような不快感が襲ってくる。
大きな机にはたくさんの食べ物やアルコールが雑然と置いてある。その周りを取り囲むように騒ぐ職場の人間たち。
一番端に
【短編小説】思い出in the sky
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ズドォン、と大砲が放たれたような轟音が披露宴会場に響き渡って、一秒前までの明るい喧騒が嘘のように静まり返ってしまった。
風のない会場内で、ひとりだけ、踊るお姫様みたいにひるがえっていたウエディングドレスの下には、床に張り付いたように男性が倒れている。仰向けで。ちょうど私の位置