
カメラを持って代々木から初台を経て新宿まで歩いた話
国立オリンピックセンターで所要があった日。予定よりもだいぶ早い時間に開放されたので、またしてもカメラを持って歩くことにした。
国立オリンピックセンターを出たあと、まずは小田急線の線路を渡り、線路沿いに続く住宅街の道を代々木上原方面に歩いた。しばらく歩いているうちに、登ってみたいと思わせる坂道に出会ったので登ってみた。坂道の先には鬱蒼とした緑が生い茂っている。

そこは代々木八幡駅の名前の由来となった、代々木八幡宮だった。参道は一度降りてぐるりと回り、急坂を登り直さないといけないのでそのまま車道から入ってみた。

住宅街にぽつんとある閑静な神社かと思いきや、境内にはけっこう人がいる。年配の男性から若い女性まで老若男女な参拝客がひっきりなしにお参りにやってきて、みんな真面目に茅の輪くぐりをしてからお参りしている。

こんな賑わう神社、明治神宮以外にもあるんだなと感心してしまった。
代々木八幡宮を降り、都道と地下を走る首都高中央環状線を超えてさらに住宅街へと入っていく。またしても神社を見つけたので入ってみる。

ものすごい階段を登ってみた先には神社らしきものはどこにもなかった。階段の先に左に入る路地があったので、そちらに歩みを進めてみたが、高級マンションと高級住宅が並んでいるだけだった。

再び別の坂道を登っていく。かなり急な坂道がこのあたりには多い。車の入れないような道もあって入り組んでいる。こんなところ、車で迷い込みたくない。

前回までに歩いた港区を歩いていても感じたのだけど、東京には急な坂道がそこかしこにあってかなり起伏に富んでいる。歩いてみるまで全く気づかなかった。
閑静な住宅街の中を歩いていると、ここは本当に渋谷区かと疑ってしまう。渋谷区と聞くと、どうしても猥雑な渋谷の町を思い浮かべてしまうのだけど、ここも渋谷区である。振り幅が激しい。

尾根に沿って歩いていると、渋谷区スポーツセンターという建物が現れた。渋谷区の大きな公共施設というと、渋谷駅周辺にあるものだと思っていたものだからちょっと意外に感じた。

そろそろ甲州街道に出る目前、緑道が現れた。ここはかつて玉川上水が流れていた水路だった。今は暗渠になり、上は緑道になっている。

ここまでノンストップで歩いてきて、気付けば喉がカラカラに乾いている。曇の日だからと油断していたけど、坂道が続いて汗もかいていたので相当水分が失われているようだ。近くの自販機で飲み物を買い、しばらく休憩した。緑の中はひんやりしていて心地よい。
甲州街道を渡り、さらに中野方面へと進んでいく。ここから渋谷本町という町名に変わる。甲州街道の先は新宿区だと思っていたのに、まだ渋谷区から出ることができない。
都道431号線を渡ると、住宅街に出る階段が見えた。甲州街道まで下ってきたのに、まだ下る。ここは谷間のような感じがする。

路地を歩いていたら緑に覆われた住宅を見つけた。蔦に覆われた家は決まって古い家と決まっていると思っていたら、案外新しかった。ドアがかわいい。

もう動くことのないフィアット500がいた。中は物入れになっている。

住宅街を抜けて突き当りの道を曲がると、いきなり商店街に出た。ふどう通りというらしい。近くに駅がないので意外だった。けっこう人が多く歩いていて、個人商店も多く軒を連ねている

このまままっすぐに進まずに、ふらりと路地裏に入る。路地に入るとさらに道が下っている。渋谷という地名が理解できる地形だ。

閑静な住宅街を歩いていると、思わず入ってみたくなる路地もあったりする。この先は民家の入口だった。

そして、都心を歩いていると必ず出くわすのが住人がいなくなり朽ち果てようとしている民家。様々な事情があるのかもしれないけど、一抹の寂しさを感じてしまう。

またしても、暗渠になった川に残された橋の跡を見つけた。二軒家橋というらしい。元々は古いコンクリートの橋が残されていたらしいが、今は全く面影がない。

グーグルマップで現在地を見てみると、この先に二軒屋道という道があるらしい。ちなみに橋のほうは「二軒家」だけど道は「二軒屋」となっている。二軒屋道はたった数百メートルのただの道で、遺跡らしいものは一切ないただの道だった。

さきほど渡った都道317号線に1時間ぶりくらいにまた出た。大きな道路に出ると、ああ都会だなと感じる。

川に掛かっていた橋を切り開いて作られた緑道がここにもあった。川の名前はわからない。

都道から再び住宅街に入り、今度は西新宿の方に向かう。路地に入ると、昔からやっていそうな個人店があった。昔はここも商店街だったのかもしれない。この店の前の道は国府道というらしい。

古い民家が立ち並ぶ路地を歩いていると、ここが新宿だということを忘れそうになるが、路地の先には高層ビルが見えているので忘れることはない。


都庁も見える。ここは新宿。

ぽつんと取り残された瓦屋根の建物と高層ビル。何かのお店だったのだろうか。

さすがにここまで歩いてくると疲れ切ってしまい、都庁をゴールにすることにした。写真すら撮る気力がなかったので都庁の写真はない。
渋谷区と新宿の辺りをちょっと歩いただけのつもりが、ここまで歩いた距離は10km。所要時間は2時間半。ところどころに江戸の街並みが垣間見えておもしろかった。いずれはなくなってしまうであろう、江戸の痕跡を写真に残せただけでも歩いてよかったと思う。
さて、次はどこを歩こうか。