偶然

イチョウ並木の噂話に身を潜めながら
この長い坂道を駆け抜けた

ほどけかけた靴紐に気づいても
いつからだろう
その足を止めることはできなかった

ベンチしかない殺風景な公園の片隅
待ち合わせしたわけでもないのに
僕らはいつもそこにいたね

あのまま
偶然ってものに
すべてを委ねていたら…

あのまま
偶然ってものを
守り続けていたら…

そんな言葉のつがいを
断ち切るように君は言った

「共に生きるためじゃない
『二度と巡り逢わない』
そんな誓いを交わすために
私たち出逢ったの」

背を向け生きてゆく二人には
街ですれ違う偶然さえももう
許されはしない

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