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章(しるし)

始発を待つ人の群れ
時の操るまま
命の赴くままに
行き交う者たち
言い知れぬ虚しさ隠すように
僕もまた紛れ込む

そんな中に独り
鋭く研いだ心
剥き出しにして
佇む少年

足早に過ぎ行くよれた靴に
唾を吐き捨て
何に勝利する?

黒く塗り潰された
その瞳で
何を裁く?

僕はそこに
いつかの自分を見ていた

行く先を阻む
目の前のものすべて敵にして
その向こうにあるはずの
《自由》という名の虚像を
疑わなかった日々

信じられるものがなければ
人を愛することもできず
誰かを傷つけることでしか
自分を救うことができなかった日々

そして僕は出逢った

そして彼も出逢うだろう

見上げた空が
例え 僕らに光を与えなくても
決して失くせないもの
ただそれだけを内に秘め
この身一つで戦ってゆける

やがては、そう…
荒野の芥に埋もれる命
そこに残る…
唯一の胸のしるし

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